月刊「壮快」2018年11月号「現代病を招く免疫異常をおさめられるのは“腸”だけ」

健康雑誌の月刊「壮快」に「自然派医師が土をいじる。菌とたわむれる。」という記事を連載中です。

今月号(201811月号)は連載第11回目「現代病を招く免疫異常をおさめられるのはだけ」です。

私たち人は、単独の存在ではなく、おびただしい数の微生物と共存している生態系です。この概念があるのとないのでは、病気や健康についての理解がまったく異なったものになります。

免疫系とは、私たちの体を守る働きをする仕組みですが、実際には、私たちの体からみての異物を排除する反応になります。異物とは、ウイルス感染細胞、がん細胞、病気を引き起こす病原体(細菌やウイルス)、毒素など体に害を与えるもののことです。

この生体防御の要である免疫反応一つをとっても、私たちの細胞と共存している微生物との連携の上に成り立っているのです。

免疫反応を直接動かしているのは、私たちの免疫細胞(たくさんの種類があります)ですが、それらをコントロールしているのが共生常在菌(主に腸内細菌)です。

常在菌は免疫系のスイッチであり、ボリュームのつまみという訳です。つまり、常在菌が免疫反応をいつから開始するのか、どの程度の強さにするのか、そして、いつ反応を止めるのかを決めているのです。

ですから、常在菌にダメージを与えると、免疫系を正常にコントロールできなくなるのです。

免疫系を正常にコントロールできない、つまり免疫の異常による病気には以下のものがあります。
(免疫系の異常の代表には他に免疫不全症がありますが、これは頻度が少なく、また免疫自体が働かない病気ですので省略しています)

①アレルギー性疾患
アトピー性皮膚炎、喘息、花粉症(アレルギー性鼻炎)、食物アレルギー、アレルギー性結膜炎、アナフィラキシー、じんましんなど

②自己免疫疾患(膠原病)
関節リウマチ、SLE(全身性エリテマトーデス)、ITP(特発性血小板減少性紫斑病)、シェーグレン症候群、重症筋無力症、バセドウ病、橋本病、クローン病、潰瘍性大腸炎、1型糖尿病、円形脱毛症など

③慢性炎症症候群
がん、高血圧、高脂(コレステロール)血症、糖尿病、肥満、動脈硬化(心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、脳出血)、心不全、不整脈、慢性肝疾患(脂肪肝、肝硬変)、慢性腎疾患、COPD、喘息、炎症性腸疾患、骨粗しょう症、認知症、うつ、老化、自閉症、発達障害など

④自己炎症症候群
家族性地中海熱 (FMF)、クリオピリン関連周期熱症候群・、TNF受容体関連周期性症候群 、高IgD症候群、ブラウ症候群、若年発症サルコイドーシス、PAPA (化膿性関節炎、壊疽性膿皮症、ざ瘡) 症候群、中條西村症候群、周期性・アフタ性口内炎・咽頭炎・リンパ節炎症候群 (PFAPA)、慢性再発性多発性骨髄炎 (CRMO)など

このように、爆発的に増えているほとんどすべての現代病の背景に免疫の(コントロール)異常があり、その最も根本の原因が常在微生物(かつては寄生虫、現代は主に腸内細菌)のダメージということになります。

これらの病名はまったく覚える必要はありませんが、あらゆる病気の根底に微生物の排除=環境の汚染があるという理解が大切です。

今、盛んに議論されている「リーキーガット症候群」も根本は腸内細菌(および腸)のダメージの蓄積によるものですね。

今月号の月刊「壮快」の記事を少し補足して解説しました。

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