COVID-19の日本と米国の現状 2020年11/14の時点
前回の流行の際、使われる用語とほとんどの政府系機関やマスコミが使用している陽性数と私が計算している陽性率との解釈の違いを解説しました。
https://www.facebook.com/shinjiro.homma/posts/2860138790977788
今回の記事は、これを踏まえて、日本とUSA でのCOVID-19の状況を解説します。
はじめに、日本です(図1)。COVID-19の発生初期から現在(2/23〜11/14)までの陽性数、陽性率、死亡数の推移を図に示します。

検査陽性数でみると、現在、日本は現在第3波の始まりに入っているように見えます。
まず第2波ですが、第1波に比べてピークで3倍程の大きな流行が来たことになります。これが本当であれば、死亡数もそれに比例して3倍程になっていなければなりませんが、実際には約半数程度になりました。
これは治療法が進歩したせいでしょうか?あるいはウイルスが弱毒化したせいでしょうか?それとも再感染だからでしょうか?もちろん、そのように解釈することもできます。
最も大切な点は、第2波時の検査数は第1波時の2〜3倍に増えていることです(正確には7月中旬くらいが境です)。
前回の記事に書いた様に、今回のCOVID-19は不顕性感染がとても多く、ウイルスがいるだけで感染も発症もしていない人が大量にいることが予想されます。
ですから、検査数を増やせば増やすだけ陽性数も増えることになります。つまり検査数が3倍になっているために陽性数も約3倍になっているだけと思われます。
そこで、陽性数/検査数を計算したのが陽性率で補正します。
陽性率で見ると、日本での第2波は第1波よりも少し小さめの流行が来たことになります。実際に死亡数との関係でも、陽性率の方が陽性数よりも明らかに死亡数の推移と近くなっており、こちらが流行の真の姿を反映していると思われます。
また陽性率の増加は、ほとんどの国で死亡数の増加に先行することが多いため、今後の死亡数の増加をいち早く予見することにもつながります。
第2波後の経過ですが、陽性数をみると、第2波収束後はくすぶり時期を経て、10月18日頃からそれ以上の大きな第3波が来ているように見えます。
くすぶり時期の陽性率も第1波後よりも第2波後の方が高い状態でくすぶっていますので、それを反映して死亡数も少し多くくすぶった状態で経過しています。
さらに10月18日頃から陽性率も上昇していますので、実際に第3波が来ているのは間違いないでしょう。上昇の程度も大きいので、この後、少し遅れた死亡数の上昇に注意する必要があります。流行後は例年のインフルエンザや海外の死亡率などと比較することも大切になるでしょう。
次に米国の状況です(図2)。

陽性数から判断すると、現在米国は、第1波とそれ以上に大きな第2波を超えた後も発生数は大きくは減少せず、そのまま第3波に移行しつつあるよう見えます。
つまり、感染は現在も拡大し続けており、全く先が見えない状態という解釈になるのではないでしょうか。
これに対して、陽性率の推移を見ると、大きな第1波があり、その後とても小さな第2波がありましたが、くすぶり状態が続いているだけに見えます。11/8より再び上昇傾向にありますので、今まさに第3波の始まりにあたると思います。そして死亡数は陽性数の推移とは全く異なり、陽性率の推移と完全に一致しています。
選挙期間中は、トランプ大統領はコロナ対策の不備が強調されていましたが、陽性率でみると、最近まで米国はCOVID-19の制圧は出来ていないにせよ、流行後のくすぶりがきているだけで大きな流行はきていません(注:くすぶりはずっと続くため制圧は出来ません)。
このように、現在世界中の政府や報道機関、論文などで示され、ロックダウンなど重要な政策を決める基準になっている陽性数は、流行の規模やトレンド、死亡数との関係など流行の本当の姿をまったく反映していません。
これまでに書いた記事のまとめは以下を参照してください。
https://www.facebook.com/shinjiro.homma/posts/2728645230793812
どうぞよろしくお願いいたします。