ワクチンの効果を公正に評価してみます

昨日の記事で「無効率」なるものを紹介したのですが、予想通り「難しい!」という声が相次ぎました^^https://www.facebook.com/shinjiro.homma/posts/2873076219684045

本日の記事は、とっても簡単です!

「無効率」は私が考案しました。なぜこのようなものを考えたかというと「ワクチンを受けなかった時」にどうなるのかの目安がなかったからです。「有効率」という言葉がトリックのような数字ですので、まったく逆のトリック的な計算をしてみたのです^^

難しく考える必要はありません。「無効率」とは、ワクチンを受けなかったらどのくらい損をするのか(発症しないというメリットが減るか)を数字にしたものです。

以下に実際にワクチンの第3相試験の結果を計算してみましょう。正式な数字は論文として出てくると思いますが、今回の数字とほとんど違いないと思います。

それぞれの言葉の意味は次のように考えてください。

有効率:受けるとどのくらい発症率が減るか

無効率:受けないとどのくらい発症しない率が減ってしまうか

接種必要数:1人の発症を防ぐのに何人の接種が必要か

①はじめに、ファイザー社です(図1)。ワクチンを受けた人、受けなかった人が約20000人ずつで、発症した人が、受けた人8人、受けなかった人162人です。

有効率95.1%無効率0.77%接種必要数130人となります。

つまり、このワクチンは「現時点で」以下のように解釈されます。

・「受けた場合」発症する人が95.1%の割合で減る

・「受けない場合」発症しない人がわずかに0.77%の割合でしか減らない

・1人の患者の発生を防ぐために130人にワクチンを接種する必要がある

②次に、モデルナ社です(図2)。

ワクチンを受けた人、受けなかった人が約15000人ずつで、発症した人が、受けた人5人、受けなかった人90人です。

有効率94.4%無効率0.57%接種必要数176人となります。

つまり、このワクチンは「現時点で」以下のように解釈されます。

・「受けた場合」発症する人が94.4%の割合で減る

・「受けない場合」発症しない人がわずかに0.57%の割合でしか減らない

・1人の患者の発生を防ぐために176人にワクチンを接種する必要がある

このように、有効率と無効率では、ワクチンの評価がまったく違うことになります。都合のいい数字だけを出すのは全くフェアーではありません。つまり、有効率という一方的な見方だけで受けるか受けないかを判断しないことが大切です。

新型コロナワクチンの接種が間もなく始まります。多くの人がワクチンを受ける前に、より正確に判断出来るように、ぜひ、この無効率や接種必要数を広めてください(ともに、ワクチンの推奨、反対に関わらずフェアーな数字です)。

どうぞよろしくお願いいたします。

より、詳しく知りたい方は以下を参照してください。ワクチンの有効率https://www.facebook.com/shinjiro.homma/posts/2861157144209286

ワクチンの無効率、接種必要数https://www.facebook.com/shinjiro.homma/posts/2873076219684045

この記事は、専門家も含めて議論出来るように数式なども入れたため少し難しくなりました。矛盾は一切ないはずですので、詳しく知りたい人は、何度も熟読してください。

これまでに書いたコロナウイルス関連の記事は以下にまとめています。https://www.facebook.com/shinjiro.homma/posts/2728645230793812

関連記事

no image

現時点(8/18)での第2波について全世界のデータから考える

情報には自分の意見に都合の良い部分(国など)のデータだけでまとめて簡単に結論づけているものがとても多くなっていると感じます。新聞やテレビ、ネットだけでなく医学論文であっても同様ですので、情報の解釈、活用には注意が必要になります。 今回の記事は、情報の得られる全世界208カ国すべてのデータから第2波について検査陽性数と陽性率、さらに死亡数との関係をまとめました。まず、いままでの私の記事からわかることを確認しておきます。 ・検査陽性と感染者を明確に区別する必要がある・流行は収まるが陽性者が完全に無くなることはなく、少数の陽性者が出る「くすぶりの状態」がこれからも続いていく・検査数が増えれば陽性者数 […]

no image

「検査陽性と感染と発症の違いをわかりやすく説明します」

新型コロナウイルスでは「検査の陽性者」を「感染者」として報道されていることがほとんどで、これはとてもとても重大な問題です。報道機関をはじめ、医師や専門家がこのことを指摘しないことはそれ以上に問題と言っていいでしょう。 今回の記事はこれらをわかりやすく、明解に説明します。 ①検査陽性とはCOVID-19では、途上国を含め、すべての国で検査はPCR検査によるものがほとんどですので、ここではPCR検査陽性のことを解説します。 PCR検査陽性とはPCR検査でウイルスが検出されたことを意味します。PCR法は何を検出しているのかというと、ウイルス遺伝子(コロナウイルスRNA)の断片(全遺伝子=ゲノムのごく […]

no image

那須烏山市の烏山高校で校外学習「烏山学+」の講義をしました

本日は、地元である那須烏山市の唯一の高校である栃木県立烏山高校で初めての講義でした。 この講義は、烏山校校外学習「烏山学+」のプログラムの一つとして高校2年生に対して行われています。 テーマは「命と向き合う」で、私のいつもの活動を自由に述べてほしいという要望でしたので、様々な内容を楽しくお話しさせていただきました。 ・なぜ医師である私が今のような生活をし、活動しているのか ・なぜ人は病気になるのか ・なぜ病気がこんなに増えているのか ・微生物と人、社会、環境(地球)との関係 ・自然農、自然食、自給自足の生活 ・病気ではなく人を見る ・人の体ではなく人の意識を治す ・意識が生き方(生活、行動、考 […]

no image

PCR検査の問題点を詳しく説明します

PCR検査の問題点を指摘して、検査は当てにならない、意味がないなどと短絡的に結論を出している情報を見かけます。 検査にはそれぞれの特徴があり、必ずメリットとデメリットがありますが、一部の欠点があるから、検査自体が全く当てにならないというのは「思考停止」になります。 今回の記事はPCR検査の何が問題でどのように考えればいいのかの要点をわかりやすくまとめてみます。 まず、あらゆる検査を理解するために避けては通れない「検査の精度」について解説します。今回は専門用語()がわからなくても理解できる様に説明してみます。 検査の精度とは主に次の2点です。①もれなく見つけること(感度)②間違いなく見つけること […]

no image

月刊「壮快」2019年5月号記事「日本人にとって小麦粉製品は主食ではなく嗜好品」

健康雑誌の月刊「壮快」に「自然派医師が土をいじる。菌とたわむれる。」という記事を連載中です。今月号(2019年5月号)は連載第17回目 です。 戦後一貫としてあらゆる現代病、アレルギー、自己免疫疾患(膠原病)、がん、生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症など)、うつ、自閉症、発達障害・・・がまさに激増しています。 これらの現代病は、日本では戦後から激増しています。病気は食事の影響だけではありませんが、食事から病気や健康を考察するときはこの視点がとても大切です。 先住民や原始人の食事から食事法を解説する意見もみられますが、その時代の食事や生活環境は想像や仮定のものであり、何でも言えることになりま […]

PageTop