自閉症を含む発達障害と腸および腸内細菌の関係

少し遅くなりましたが、糞便移植により重症の自閉症の子の症状が47%も減少したという報告の記事をシェアいたします。
http://karapaia.com/archives/52273117.html

糞便移植というのは、簡単に言えば腸内細菌を移植するということです。腸および腸内細菌の状態が人の健康に最も重要です。ですから、健康な人の腸内細菌を移植することにより多くの病気を改善できる可能性があり、実際に既にたくさんの難病や生死に関わるような重篤な病気に対して行われ、効果が確認されています。

今回の記事は、自閉症を含む発達障害と腸および腸内細菌の関係まとめます。結論は、発達障害は腸および腸内細菌の異常であり、予防や改善が可能であるという事です。

急増している自閉症を含む発達障害の原因には、非常にたくさんの要因が複雑に関係しており、現代病でも最も難解なパズルといわれています。

例えば、想定さている原因には、食事(砂糖、牛乳、小麦、食品添加物)、抗生剤、ワクチン、アレルギー、消化器異常(特にリーキーガット症候群)、重金属、ミネラル不足・過剰、遺伝子異常(MTHFr遺伝子、COMT遺伝子)、ウイルス・細菌・真菌(カビ)感染症などがあります。

しかし注意深く見ていくと、これらのほとんどすべてに腸内細菌が関与している事がわかります。

実際に腸の様々な病気(炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)、過敏性腸症候群、リーキーガット症候 群など)により自閉症や不安障害、うつ、分裂病がみられやすい傾向が顕著に見られます。

自閉症を含めた発達障害の根本原因が腸および腸内細菌の異常によることは明らかなのですが、以下に具体的な証拠を見ていきます。

まず、腸内細菌の発達への影響の報告をまとめます。
・腸内細菌は初期の脳の発達自体に影響する
・初期の脳の発達は後になってからでは補えない
・成長初期の腸内細菌の状態により成人の脳の機能にも変化がみられる
・腸内細菌は、成長期だけでなく、成長後であっても脳への影響を持ち、宿主の行動も変化させる

次に腸内細菌の精神面に及ぼす影響の報告をまとめます。
・無菌マウスの特徴
 ①用心深さが減り、危険を伴う行動をとる一方で不安感の増強がみられる
 ②セロトニン関連細胞に大きな変化がみられる
 ③ストレス応答が変化 ストレス耐性に大幅な低下がみられる
・心の病気(うつ(気分障害)、統合失調症、アルコール依存症など)
・行動(前向きな気分、好奇心旺盛、社交的、衝動性など)
・気質(自制する、親に寄り添いたがる、母親に注意を向ける傾向など)
・人格、性格
・学習、記憶、認知能力
・睡眠障害
・ストレス応答

さらに自閉症を含めた発達障害と腸内細菌の関係の報告をまとめます。
・自閉症児の腸内細菌パターンは健常児と大きく異なる
・自閉症児に多くみられる腸内細菌は神経疾患を誘発する物質を産生する
・自閉症児には消化管の病気(症状)がとても多くみられる 
  胃腸炎、便通異常(便秘、下痢、嘔吐)、食物アレルギー、小麦不耐、牛乳不耐、カンジタ感染、腸の透過性亢進(リーキーガット症候群)・・・など
・腸内細菌の異常の母から生まれた子マウスは自閉症様症状を示すが正常な腸内細菌を移植すると改善する
・自閉症様症状を示すマウスはL.ロイテリ菌(乳酸菌の一つ)が減少していたが、L.ロイテリ菌あるいはオキシトシンの投与で改善する
・退行型の自閉症は中耳炎などの感染症の反復から抗生剤が投与されたりワクチン接種の後に急速に症状の進行がみられることがある

私の今までの記事も是非ご参照ください。
①夜泣きや発達障害と腸内細菌の関係
https://www.facebook.com/shinjiro.homma/posts/2291190751205931
②腸内細菌と心の関係~人の感情も腸内細菌が決めている?
https://shizenha-ishi.com/blog/microbe/234/
③自閉症と微生物の関係~自閉症の最も根本の原因も微生物の排除にある
https://shizenha-ishi.com/blog/microbe/229/

発達障害の原因や考え方、薬、対策などについては私の本『自然に沿った子どもの暮らし・体・心のこと大全』でも詳しく解説しています。合わせてご参照ください。
https://www.amazon.co.jp/dp/4479784349

ここで、私の発達障害(自閉症を含む)に対する考えをまとめます。

・発達障害の発生数は診断されやすくなった点を考慮しても明らかに激増している
・発達障害に対する最大限の理解と支援は必要である
・しかし発達障害に対する薬の安易な使用は極力避けなければならない
・発達障害に使用する薬の多くは覚せい剤類似物質である
・発達障害は予防(発症を防ぐ)や改善する方法がある!!
・発達障害に対するアプローチは早ければ早いほど効果が高い
・改善方法は欧米の報告を参考にすることも大切であるが、日本人には日本人に合った方法(遺伝、体質、環境、実践などの面から)を選択するのがより良い

今回の糞便移植が自閉症に対しても著明な改善を認めるという報告は、腸内細菌の知識があれば全く不思議ではなく、むしろ当たり前になります。ただし、糞便移植も対症療法であることを抑えておく必要があるでしょう。本質は、普段の食事や生活を発症しないように整えておく事であり、発症してからも日常生活から改善する事にあるからです。

実際に腸内細菌の状態や栄養障害(これも本質は腸内細菌の異常)を改善する事により発達障害に目覚ましいまでの効果を認めるという報告がたくさん見られる様になってきました。

これだけの情報が得られる中で、自閉症を含め発達障害に対して以下の様な一般的な考えのみに固執する事は、生きにくさを抱える子ども達や保護者にとって何をもたらすでしょうか。
・発達障害が原因不明である事
・発達障害を薬でコントロールしようとする事
・発達障害を(薬以外で)改善する方法がないとする事

西洋医学(医師の言う事)、一般的(常識的)な事、大手のマスコミの流す情報だけが正しいという時代は終わりを告げようとしています。可能な限り多くの悩める子ども、保護者、教育関係者、医療機関の方に大切な情報が伝わってほしいと思います。

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