PCR検査から真の感染率(患者数)と致死率を簡単に推計する論文 COVID-19㉓
COVID-19の感染率(患者数)、致命率について面白い解析をしている論文があります(medRxivですのでまだ雑誌に載っていないプレプリントです)。
この報告はPCR陽性率(検査した人での陽性の割合)とPCR検査率(人口での検査をした人の割合)が逆相関することを利用して、 できるというものです。
ポイントは、抗体検査をしなくても、PCR検査数を増やさなくても計算できてしまうということです。
報告したのは、日本の帝京大学の脳神経内科の教授をされている園生雅弘先生です。
COVID-19の発生数が1000人以上に達している国や地域が多数になっています。1か国ではまったく解析できませんが、この条件を満たす67の国や地域からのデータを平均化することで、推計値の正確性を高めています。
実際に計算された推計値は、今までの報告(私も何度も紹介している抗体検査)とほぼ同じ数値となり、この推計法はとても信頼性できるものであるとしています。
結果は図表になりますが、これらからわかることは、
①真の感染数は予想より大幅に高い
・ほとんどの国で人口の1~10%の範囲内になっている
・推計患者数が今までのPCRでの患者数の何倍になるか 欧米<<アジア
西洋諸国では20~40倍
アジア諸国では100倍以上
日本では176倍
②それに伴い真の感染致死率はとても低い 欧米>>アジア
欧米諸国では致死率高い 0.221~0.879%
アジアでは致死率低い 0.005~0.015 %
日本では 0.015% 東京 0.013% 兵庫 0.017%
考察として、以下を挙げています。
・COVID-19の感染管理の根本的な見直しが必要!!
・全ての患者をみつけ、完全に封じ込めることは非現実的
・とくに致死率が低い日本を含むアジアでは完全な封じ込め、集団免疫、治療薬、ワクチンよりもウイルスの弱毒化が有効
・そのためには入院者や重症者の強毒ウイルスの封じ込めがカギになる


私のコメントとしては、
・PCR検査数を増やすことにあまり意味はない
・大規模な抗体検査の結果を待たずともほぼ結論は出ている
・少なくてもアジアではインフルエンザよりも低い死亡率
・ロックダウンは必要ない
・医療崩壊の可能性は低い
・対策は高リスク者、重症者の対策に集中すること
・日本やアジアでは欧米諸国より致死率がとても低い 理由は?
・治療薬やワクチン以上に大切なことがある