超過死亡とこれまでの様々な(公式の)報告値との関係・超過死亡③「COVID-19第1波のまとめ③」

超過死亡が病気の真の重要度を決める唯一の指標になることを説明してきました。これまでの超過死亡の記事は以下を参照してください。

・超過死亡について・超過死亡① 「COVID-19第1波のまとめ①」

超過死亡について・超過死亡① 「COVID-19第1波のまとめ①」日本を含めたアジアや欧米ではCOVID-19の第1波は収束しつつあります。そこで、現時点でのまとめを何度かにわけてまとめます。COVID-19の第2、3波の備えを考え…

本間真二郎さんの投稿 2020年6月15日月曜日

・欧州の超過死亡からみえるCOVID-19の真の姿・超過死亡②「COVID-19第1波のまとめ②」

欧州の超過死亡からみえるCOVID-19の真の姿・超過死亡②「COVID-19第1波のまとめ②」今回の記事は、検査(PCR検査、抗原検査、抗体検査)の方法や正確性に左右されない超過死亡のデータからCOVID-19の真のインパクトを推定し…

本間真二郎さんの投稿 2020年6月17日水曜日

今回も超過死亡がはっきり示されている欧州のデータ解析の記事になります。誰にでもわかる様に解説しますが、マニアックな内容も含みます。数字を見ると頭が痛くなる方や統計に興味がなく簡単に理解されたい方は結論だけでいいと思います^^

今回の記事の結論は、以下になります。

①超過死亡の発生は死亡率が約150人/100万人以上の国でみられる

②超過死亡が見られる国では、超過死亡の程度は死亡率にほぼ比例して見られる

③公式の報告の中で超過死亡と最も相関しているのは死亡率になる

ここから解説になります。

前回の記事に書いたように、COVID-19の報告されている公式の患者数(感染者数)、死亡数は見逃しが多いため真の数字からは大きく異なります。

例えばPCRと抗体検査での感染者数は数十〜数百倍も違います。ですから、それから計算される罹患率(全人口での患者(感染者)割合)、死亡率(全人口での死亡割合)、致命率(患者(感染者)での死亡割合)も当然本当の値ではありません。そこで、検査の頻度や精度に影響を受けない超過死亡が、唯一COVID-19の真のインパクトを示すものになります。

欧州の20カ国のまとめでは、超過死亡が発生している国と発生していない国があります。死亡数が少ない場合は、その病気は国民全体の死亡に対する影響が小さいと考えられ、超過死亡は数字上は発生しないことが予想されます。

そこで、どのような場合に超過死亡が発生するのかを、公式の報告値である死亡率、総患者数、総死亡数、致命率(総患者数/総死亡数)、死亡率(死亡数/人口100万人)との相関から検討してみました。

はじめに超過死亡が発生した国としていない国に分けます。発生している国では、超過死亡のZスコア(説明は省略=簡単には超過死亡の程度を表します)の総計=総Z値を計算しました。インフルエンザによる影響を受けないと考えられる2020シーズンの9〜20週(前回の記事の2つめのピーク)のみで計算しました。

①超過死亡が発生している国(総Z値)

イギリス=UK(214)、スペイン(174)、ベルギー(110)、オランダ(98)、イタリア(86)、フランス(81)、スウェーデン(81)、スイス(34)、アイルランド(26)ポルトガル(18)

②超過死亡が発生していない国(総Z値=0)

ドイツ、デンマーク、ハンガリー、エストニア、ノルウェー、ギリシア、ルクセンブルグ、オーストリア、フィンランド、マルタ

この値(総Z値)を使って、公式発表の様々な値との相関を見てみます(図を参照)。

超過死亡とそれそれの公式の報告値との相関係数を示します(1に近いほど強い相関あり)。

死亡率:0.851、総患者数:0.772、総死亡数:0.806、罹患率:0.573、致命率:0.659

これらからわかることは以下になります(死亡率はすべて100万人に対する人数です)。

・様々な公式の報告値の中で死亡率が超過死亡と最も相関している=関係がある

・次に総死亡数と総患者数とも強い正の相関を認めている

・しかし、総患者数187423人、総死亡数8867人と両方ともとても多いドイツでは超過死亡を認めていない

・つまり、総患者数や総死亡数が多くても必ずしも超過死亡を認めるわけではない

では死亡率と超過死亡の関係をより詳しく見てみます。

・ポルトガルの死亡率148以上の9カ国(死亡率148〜833の範囲)では死亡率にほぼ比例して超過死亡を認める

・死亡率106以下の10カ国(死亡率18〜106の範囲)ではすべて超過死亡なし

・先ほど総患者数や総死亡数が多かったドイツも死亡率は106とこの範囲内に入っている

・唯一の例外はルクセンブルグ(死亡率176)で超過死亡がない(しかし大きく外れているわけではない)

・正確に理解したい人のための補足:今回は統計学的に有意な超過死亡が出た国を解析しています。それ以下でも死亡が増えている国があります(以下増えている国と死亡率 ルクセンブルグ:176、オーストリア:75、フィンランド:59、マルタ:20)。

結論は、死亡率がおおむね150くらいが超過死亡が発生するかどうかの境目になっています。(補足を追加:死亡率が20くらいから超過死亡を認めることもありますが、統計学的には有意になりません)

では、今回の解析の結論とそこから考えられることをまとめます。

今回の記事の結論は、以下になります。

①超過死亡の発生は死亡率が150人/100万人以上の国でみられる

それ以下の国ではCOVID-19の国民の死亡に対する影響はないかあってもわずかになります。

②超過死亡が見られる国では、超過死亡の程度は死亡率にほぼ比例して見られる

③さまざまな公式の報告値の中で超過死亡と最も相関しているのは死亡率になる

つまり、超過死亡が解析されていない国での病気のインパクトは死亡率をみると良い

さて、日本の現時点(6/17)での正式な死亡率は8ほどになり、欧米諸国の50〜100分の1以下と驚異的な低さになっています。本日の解析結果では、死亡率150くらいから超過死亡が発生しますので、日本の今シーズンのCOVID-19による超過死亡は発生していないことが予想されます(解析しなくても)。

日本の超過死亡の解説は後日になりますが、日本を含めたアジアでなぜ死亡率が極端に低いのかは、COVID-19を理解する最も重要なポイントになりそうです。

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