欧州の超過死亡からみえるCOVID-19の真の姿・超過死亡② 「COVID-19第1波のまとめ②」

今回の記事は、検査(PCR検査、抗原検査、抗体検査)の方法や正確性に左右されない超過死亡のデータからCOVID-19の真のインパクトを推定してみます。

超過死亡についての解説は前回の記事を参照してください。

更にコロナウイルスの真の実態が明らかにする・超過死亡① 「COVID-19第1波のまとめ①」日本を含めたアジアや欧米ではCOVID-19の第1波は収束しつつあります。そこで、現時点でのまとめを何度かにわけてまとめます。COVID-1…

本間真二郎さんの投稿 2020年6月15日月曜日

データは超過死亡の解析が詳しくなされている欧州の主要20カ国のデータのまとめサイトをもとにしています。

https://www.euromomo.eu/graphs-and-maps?fbclid=IwAR30F1u-9Rv1F9-_ebil6XYFojxBEyflM6wcBFCc-QSAvZg0uiacdgipeOw

日本の超過死亡の記事を書く予定だったのですが、大きな問題が生じていますので後日になります。

結論は、超過死亡からみるCOVID-19の真のインパクトは、最も死亡率の高かった欧州で季節性インフルエンザと同等か少し強い程度、死亡率の低かった日本ではインフルエンザとは比較にならない程弱いことになります。

ここから、詳しい解説になりますが、図をみるととてもわかりやすいと思います。ブログの方が見やすいですので、ぜひご参照ください。

まずは、ここ4年間の欧州主要20カ国を合わせた超過死亡の推移を示し、超過死亡の見方とそれに対する解説を加えます(図1)。

①例年の死亡数(すべての原因の死亡数)の平均が黒点線、通常起こり得る変動範囲がグレイ、その上限が赤点線になる

②実際の死亡数は青線、超過死亡は青線が下の点線(赤あるいは黒)より上にはみ出た部分になる

 単純な超過死亡は黒より上、統計学的に優位な上昇は赤より上になりますが、このホームページでは黒より上を超過死亡と表現していますので、それに準じます。

③超過死亡は2016年から解析されており、主に毎年冬に年をまたいで発生している

 例えば2017年冬〜2018年春の時期をここでは2018シーズンと呼ぶことにします。

④山が高いとその週の超過死亡数が多いが、シーズン全体では上にはみ出た部分の面積になることに注意

⑤超過死亡の発生数はシーズン毎で大きく異なっている

 実際の超過死亡数を計算してみました。

  2017シーズン 約11.7万人

  2018シーズン 約15.2万人

  2019シーズン 約5.8万人

  2020シーズン 約20.8万人

次に、2017、2018、2019の3シーズンのインフルエンザ報告数と超過死亡の関係をみてみます(図2)。

①やはり毎年冬に発生している超過死亡の主な原因はインフルエンザと考えられる

②超過死亡はインフルエンザの流行の時期にあまりタイムラグなく発生している

これはインフルエンザによる死亡は発症から死亡までの期間が短いことが影響していると思われます。

③インフルエンザの発生数が多いからといって必ずしも超過死亡が多いわけではない

そのシーズンに流行したウイルスの種類やその他の様々な影響を受けていると思われます。

では、問題の今シーズン(2020年シーズン)をみてみます。

2017〜2020シーズンを通しての超過死亡の推移の図を再び示します(図1)。

まず、わかることは、

①今シーズンの超過死亡の発生数は例年より多い

②今シーズンの超過死亡はインフルエンザとCOVID-19の両方によるものが含まれるはず

③今シーズンの超過死亡をよく見ると2つの山からなる

順に解説します。

①超過死亡の発生は例年より多い

まず重要なのは「明らかに今シーズンは例年より多い超過死亡が発生している」ことです。

つまり、今シーズンは、欧州では間違いなく例年に比べて多くの死者が出ていることになります。ですから、一部の人が強調する以下の意見の可能性はとても低くなります。

・コロナウイルスは存在しない

・PCR検査はコロナウイルス以外の他の病原体(インフルエンザ、マイコプラズマなど)を検出している

・基礎疾患など別の理由の死亡をCOVID-19による死亡にカウントされている

・保険請求や何らかの意図によりCOVID-19の死亡数が水増しされている

・・・

これらの可能性ももちろんありますし実際に行われていると思いますが、少なくても何らかの理由で今シーズンは死亡数がとても多くなっており、常識的には、これは今回のCOVID-19によるものであると考えられるからです。

陰謀論など検証できないことにも、重要な情報がたくさんあります。しかし、例えば「コロナウイルスはない」「データはすべてねつ造」などと一蹴してしまうと、思考停止になり、他の意見とのディスカッションや現実との整合性がとれなくなります。検証できる部分とできない部分をしっかり分けて考えなければ、きちんと解析している人の意見まで信用されなくなることになります。

②今シーズンの超過死亡はインフルエンザとCOVID-19の両方によるものが含まれるはず

ほとんど指摘されませんが、とても重要なことです。今シーズンの超過死亡はCOVID-19だけでなくインフルエンザによるものも含まれるということです。

今シーズンのインフルエンザの発生数は、日本では記録的な少なさになっています(この理由は後の記事で考察します)。今回の解析は欧州になりますので、欧州でのインフルエンザの発生状況をみる必要があります。

煩雑になりますので、昨シーズンと今シーズンの欧州のインフルエンザ発生数を示します(図3)。

欧州の今シーズンのインフルエンザの流行は昨年と同等の報告数で、ほぼ例年通りに発生しています。つまり、欧州ではインフルエンザによる超過死亡も発生している可能性があります。

例えば、前回紹介したコロナウイルスの超過死亡をセンセーショナルに伝えている記事はインフルエンザを考慮していませんので、解釈に注意が必要です。

The New York Times誌「コロナウイルスの流行で109,000名の死亡が見逃されている」

https://www.nytimes.com/interactive/2020/04/21/world/coronavirus-missing-deaths.html

この点を踏まえて、今シーズンの超過死亡を詳しくみてみます。

③今シーズンの超過死亡をよく見ると2つの山からなる

注目すべき点は、今回の超過死亡は、よく見ると(45週〜7週の小さい山と9週〜20週に の大きい山)2峰性になっていることです(図4)。

今シーズンのインフルエンザ(欧州全体)とCOVID-19(主要20カ国)の報告数、超過死亡を横軸(日付)をそろえて並べてみます。

発生の時期を考えると、おそらく初めの小さい山がインフルエンザ、あとの大きな山がCOVID-19によるものと思われます。後の山の一部はインフルエンンザによるものが混ざっているかもしれません。

初めの山がインフルエンザで、次の山がCOVID-19によるものであれば、今シーズンのインフルエンザによる超過死亡は約3.5万人、COVID-19による超過死亡は17.3万人になります。

もし、2つめの山にインフルエンザによるものが混ざっていたらCOVID-19の超過死亡はもっと少なくなります。

これらの2つの山がすべてコロナウイルスによるもの(発生時期的に考えにくいですが)であれば、今年の超過死亡は約20.8万人になります。

結論として、超過死亡からみるCOVID-19の本当のインパクトは最も死亡率の高かった欧州で季節性インフルエンザと同等か少し強い程度になります(最大でも2018シーズンの1.37倍)。

日本での死亡率(人口あたりの死亡数)はさらに欧米諸国の50〜100分の1程度になっており、インフルエンザとは比較にならない程弱いことになります(これについては今後の記事にまとめます)。

インフルエンザは毎年流行し、人類はインフルエンザに対してある程度の免疫を持っています。一方、新型コロナウイルスは初めて登場した誰も免疫をもっていないウイルスとされていますが、そのわりにパンデミックを起こすウイルスとしてのインパクトは高くないことがわかります。

これが、あらゆる検査や報告からは見えてこない超過死亡からわかるCOVID-19の真の姿になります。

今後の考察内容としては、

・この程度のインパクトであったのはロックダウンが有効だったから?

・なぜ国によりインパクトが極端に違うのか?

・それ以上に日本を含めアジアで死亡率が極端に少ない理由は?

などが重要になると思います。

これまでに書いた記事のまとめは以下を参照してください。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連の今までに書いた私の記事のリンク集です。記事が増えるたびに更新します。①最も重要な情報の簡潔なまとめ(2/21)https://www.facebook.com/shinjiro.hom…

本間真二郎さんの投稿 2020年3月14日土曜日

私の新刊「感染を恐れない暮らし方」も発売中です^^

http://urx.blue/0VXK

どうぞよろしくお願いいたします。

関連記事

no image

新型コロナウイルスについてのウイルス学的な特徴(2/24) COVID-19③

新型コロナウイルス(COVID-19)関連の記事を続けて書いています。 いままで書いた記事のリンクは以下の通りです。 最も重要な情報の簡潔なまとめ https://www.facebook.com/shinjiro.homma/posts/2622431101415226 新型コロナウイルスの臨床的特徴(2/22の時点) https://www.facebook.com/shinjiro.homma/posts/2623921001266236 新型コロナウイルスは新しく登場したウイルスです。適切な対応をするためには正確な情報が必要になりますが、ウイルスを含め、感染症についての理解は、医師や専 […]

no image

那須烏山市の烏山高校で校外学習「烏山学+」の講義をしました

本日は、地元である那須烏山市の唯一の高校である栃木県立烏山高校で初めての講義でした。 この講義は、烏山校校外学習「烏山学+」のプログラムの一つとして高校2年生に対して行われています。 テーマは「命と向き合う」で、私のいつもの活動を自由に述べてほしいという要望でしたので、様々な内容を楽しくお話しさせていただきました。 ・なぜ医師である私が今のような生活をし、活動しているのか ・なぜ人は病気になるのか ・なぜ病気がこんなに増えているのか ・微生物と人、社会、環境(地球)との関係 ・自然農、自然食、自給自足の生活 ・病気ではなく人を見る ・人の体ではなく人の意識を治す ・意識が生き方(生活、行動、考 […]

no image

民間での抗体検査の結果が次々に出て来ていますがが、どれも同じような結果です COVID-19⑳

すでに多くの人がシェアしていますが、神戸市立医療センター中央市民病院に新型コロナウイルスと関係のない症状で外来を受診した患者1000人に抗体検査を行い33人(3.3%)で陽性(つまり抗体を持っている=すでに感染している)という結果でした。性別や年代の偏りを修正すると、抗体を持つ人の割合は2.7%になるそうです。 毎日新聞 https://mainichi.jp/articles/20200503/k00/00m/040/002000c 神戸新聞 https://this.kiji.is/629660907131749473?c=49404987701575680&fbclid=IwAR […]

no image

全米でヘンプ(大麻)栽培の合法化

ついに、全米でヘンプ(大麻)の栽培が合法化するとのことです(州レベルではすでに解禁されていました)。 https://www.facebook.com/shinjiro.homma/posts/2279668325691507 全世界で大麻の解禁(合法化)がものすごい勢いで進んでいます。医療用大麻はすでに20か国以上で使われていますし、嗜好用大麻もウルグアイとカナダで解禁になっています。 大麻にはカンナビノイド と呼ばれる特有の成分(化学物質)が60〜100種類以上含まれています。代表的なカンナビノイドの一つであるテトラヒドロカンナビノール(THC)が大麻の主な向精神性(欧米では主に多幸感であ […]

no image

ステロイド依存症

乳児湿疹やアトピー性皮膚炎(以下アトピー )の子がものすごく増えていますが、私は治療にステロイド剤の使用をお勧めしていません。理由は、これらの治療にステロイド剤が必要ないためですし、ステロイド剤の副作用、抵抗性、依存性を考えると逆に使用してはいけないと考えています。 私は、ステロイドを使わない医師の団体に入っています。この団体に所属している医師数は約50人程になりますが、現在の日本の総医師数は約31万人ですので、割合としてはとてもとても少ないことになりますね。 このリンク先の子どもへの医師の治療は、私がお勧めしている治療のほとんど真逆をしています。しかし、病院を35カ所受診しても解決にはならな […]

PageTop