現時点(8/18)での第2波について全世界のデータから考える

情報には自分の意見に都合の良い部分(国など)のデータだけでまとめて簡単に結論づけているものがとても多くなっていると感じます。新聞やテレビ、ネットだけでなく医学論文であっても同様ですので、情報の解釈、活用には注意が必要になります。


今回の記事は、情報の得られる全世界208カ国すべてのデータから第2波について検査陽性数と陽性率、さらに死亡数との関係をまとめました。
まず、いままでの私の記事からわかることを確認しておきます。


・検査陽性と感染者を明確に区別する必要がある
・流行は収まるが陽性者が完全に無くなることはなく、少数の陽性者が出る「くすぶりの状態」がこれからも続いていく
・検査数が増えれば陽性者数も増えるので、本当の増加か見かけ上の増加かを区別するために陽性率(陽性数/検査数)を計算している


今回の解析では、208カ国のうち検査陽性数の推移から第1波が収まった後に第2波が来ているように見える国は20カ国になりました。これらの国で検査陽性数を陽性率により補正し、死亡数との関連もみました。期間は1/23から8/6〜8/16(PCR検査数の報告にばらつきあり)になります。


減少傾向にあった陽性者数が再び増加し第2波のように見えても、第1波が完全に収束していない国は除外しています。理由は、第1波の続きなのか第2波なのか判定できないためです。


以下に結果を示します。


①補正しても明らかに増えている3カ国では死亡数も増加している(図1)
これらの国(オーストラリア、イスラエル、クロアチア)では陽性率も第1波並に増加していますが、死亡数の増加も第1波と同等かそれ以上になっています。
全世界で第1波収束後の第2波による死亡数の明らかな増加が見られるのは、今のところこの3カ国だけになりますが、地理的(場所や気候、流通など)、人種的に共通点はみられなさそうです。


②補正するとわずかに増加している2カ国では死亡数の増加はないかくすぶり程度(図2)
日本とスロベニアの2カ国になります。陽性率では明らかに第1波より小さい増加(つまり本当の実数の増加はわずか)になっています。これらの国での死亡率の明らかな増加はないと考えていいでしょう。


補足ですが、日本ではコロナウイルスが検出されさえすれば、直接の死因と考えられなくてもコロナウイルスによる死亡と届け出するように通達されており、少ない死亡数を底上げしていると思われます。


③補正すると第2波ではなくくすぶりの状態の10カ国では死亡率の増加はないかくすぶり程度(図3〜6)
フランス、ベルギー、オランダ、ルクセンブルグ、デンマーク、ギリシア、マルタ、スロバキア、チュニジア、キューバになります。
これらの国では、陽性数がかなり増加しているように見えても、陽性率ではほとんど増えておらず、くすぶりの状態です。つまり、見かけ上であり、本当の第2波ではないと思われます。当然ですが死亡数の増加はほとんどみられません。
検査数の増加による見かけ上の陽性者の増加は、先進国では世界に共通してみられることのようです。


④①〜③に当てはまらない例外はスペインの1カ国だけである(図7)
スペインは陽性率も増加傾向にありますが、死亡数がまったく増えていない唯一の国になります。
しかし、スペインはPCR検査数が第1波の終わり頃からの報告しかなく、また、1週間分まとめての報告数ですので、第1波と正確に比較できていないだけかもしれません。あるいは検査基準や報告体制にスペイン独自のきまりがある可能性もあります。


⑤PCR検査数が報告されていない途上国4カ国はすべて死亡数の増加はない(図8〜9)
カンボジア、キプロス、フェロー諸島、トリニダード・トバゴになります。
これらの国ではPCR検査数の報告がないため陽性率を計算できませんが、死亡数は全く増えていません。カンボジアとフェロー諸島に至っては現在まで死亡者は発生していません。


今回の記事の結論は以下になります。
・世界のすべての国の解析でも、検査陽性者よりも陽性率の推移の方が流行の真の実態を示していると考えられる
・陽性数では見かけ上第2波が来ているように見える国でも陽性率で補正するとほとんどの国では第1波後のくすぶりの範囲内である
・本当に第2波が来ている国は、今のところ全世界でわずかに3カ国だけであり、これらの国では死亡数も再び増加している
・陽性率での補正により死亡数の増加も予測できる
・つまり、陽性率が第1波と同等に大きく増加していなければ、死亡数の増加はほとんど見られない
・日本では、陽性数では大きな第2波に見えるが、陽性率で補正するとくすぶりの範囲内であり、今後も死亡数の大きな増加はないと予測される
・検査数の増加による陽性者数の増加は日本だけでなく世界共通に見られる


これまでに書いた記事のまとめは以下を参照してください。
https://www.facebook.com/shinjiro.homma/posts/2728645230793812


私の新刊「感染を恐れない暮らし方」も好評発売中です^^
http://urx.blue/0VXK
どうぞよろしくお願いいたします。

関連記事

no image

甘酒づくり

先日作った米麹を使って甘酒を作りました。 作り方はとても簡単です。 もち米を普通に炊き、同量の米麹とお湯を加え、魔法瓶で一晩置くだけです。 たまには甘いものが欲しくなります。甘い物のとり過ぎはもちろん禁物ですが、甘酒には腸内最近を元気にするオリゴ糖がたくさん含まれています。 腸および腸内細菌を元気であれば、たまに甘い物とっても大丈夫でしょう。以前書いた甘酒の記事も参考にしてください。 https://shizenha-ishi.com/blog/food/48/ https://www.facebook.com/shinjiro.homma/posts/1786684838323194 htt […]

no image

「ワクチンの効果は有効率だけで判断しないようにしましょう」

「ワクチンの効果は有効率だけで判断しないようにしましょう」 〜効果についての新しい考え方を提案しています〜 先日はワクチンの有効率についての記事を書きました。今回の記事を読む前にぜひこちらも読んでください。 今回は、少し複雑ですが、ワクチンを受けないとどうなるのかの目安となるものを考案しました。時間がありません。多くの人に拡散をお願いいたします。 前回の記事で示した4パターンのいずれの場合もワクチン学ではまったく同じ有効率90%になりました。これは、一般の人がイメージするもの(図1)とは異なりますが、すべて発症した人を1/10の「割合」に減らしているから有効率は90%になるのです(科学的に間違 […]

no image

超過死亡について・超過死亡①「COVID-19第1波のまとめ①」

日本を含めたアジアや欧米ではCOVID-19の第1波は収束しつつあります。そこで、現時点でのまとめを何度かにわけてまとめます。 COVID-19の第2、3波の備えを考える上で、第1波から見えてきた新型コロナウイルスの本当の実態を明らかにし、今までの国の対策の評価をすることが大切になります。その際にとても重要になるのが抗体検査と超過死亡になります。 抗体検査に関しては、すでに何度も解説しましたが、現在の市販のキットでは正確性に大きな問題が指摘されています。正確性の高い実験室レベルの抗体検査の1日も早い開発が望まれます。 一方の超過死亡がなぜ重要なのかと言うと、超過死亡は検査(PCR検査、抗原検査 […]

no image

新型コロナウイルス感染症の軽症例と重症化を分ける免疫の仕組み(3/13) COVID-19⑧

新型コロナウイルスの記事をいくつか書いています。今までの記事のリンクを以下にまとめておきます。ぜひ合わせてご参照ください。 https://www.facebook.com/shinjiro.homma/posts/2638163739841962 今回の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、軽症のまま治ってしまうほとんどの人と、重症化する一部の人に分かれますが、初めは同じ風邪症状で経過し区別できません。では、何がこの違いに関係しているのでしょうか? 免疫力、抵抗力、解毒力などの一言に尽きるといえばそれまでですが、これらの表現はあまりに漠然としすぎており、かえって混乱を与えているよう […]

no image

免疫のとても簡単なまとめシリーズ② 「免疫系は大きく2系統4種類ある」

シリーズで、できるだけだれにでも分かるように免疫の解説をしております。前回の記事を読んでいただくと理解が深まります。https://www.facebook.com/shinjiro.homma/posts/2802198566771811 免疫系は体を守るシステム全体ですので、いくつもの防御段階(防御壁)があると考えるとわかりやすいと思います。免疫系は大きく2系統4種類あります。今回はこれについて大まかに解説します。 まずは、2系統ですが、自然免疫系と獲得免疫系になります。いきなり名前が難しいですね。簡単には、通常時免疫と災害時免疫になるでしょうか。ここで言う災害とはもちろん(ウイルスの)感 […]

PageTop