今シーズンの日本の超過死亡・超過死亡④ 「COVID-19第1波のまとめ④」
今回は、日本の今シーズンの超過死亡についてになります。
超過死亡のデータは、後で必ず必要になると思いますので、淡々と続けていきます^^
今までの超過死亡の記事はリンクを参照して下さい
結論は、今シーズンの日本では、インフルエンザ、COVID-19ともに超過死亡は発生していないか、発生していてもごくわずかであることが予想されます。
以下、詳しい説明になります。
実は、日本では超過死亡は古くから解析されており、超過死亡を迅速に計算できるシステムがあります。
https://www.niid.go.jp/niid/ja/flu-m/2112-idsc/jinsoku/131-flu-jinsoku.html
これはインフルエンザに対する社会へのインパクトを迅速に伝えるために使われてきました。欧州の超過死亡の記事で解説しましたが、毎年冬に発生している超過死亡はインフルエンザによると考えていいと思います。
まず、日本の感染症研究所(感染研)が独自に計算しているインフルエンザによる超過死亡の長期の推移を示します。これは、私の以前の記事に書いた欧州の超過死亡とはまったく計算法が異なる(であろう)ことに注意してください。
これからわかることは以下になります。
①超過死亡の数は年により全く異なる。
②全発生がない年(90-91,95-96,06-07,13-14,15-16シーズン)もあれば4万人弱発生している年(98-99シーズン)もある
③発生数は必ずしもインフルエンザの発生数には比例しない
以上を踏まえた上で問題の今シーズン(2019冬〜2020春)を見ていきます。欧州の超過死亡の記事で考察したように今シーズンの超過死亡には、インフルエンザによるものとコロナによるものの両方が含まれるはずです。
今のところの感染研の公式な発表では、
①インフルエンザによる超過死亡はない
②コロナウイルスによる超過死亡はこのシステムでは計算できない
とされています。
超過死亡は、検査の方法や精度には左右されない数字ですので、実は日本では遥かに多くのCOVID-19が見落とされているという指摘や、様々な対策が適切であったかどうかを客観的に判断できることが期待されます。
・日本経済新聞5/24「コロナ感染死、把握漏れも「超過死亡」200人以上か」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59508030U0A520C2NN1000/
・朝日新聞5/25「世界各国で「超過死亡」コロナ死者、発表数より多い?」
https://www.asahi.com/articles/ASN5S6V61N5FUHBI02G.html
などを参照してください。
さらに、感染研の超過死亡のグラフが、なぜか5/24に大きく変更されており、改ざんではないかという意見も出ています(詳しくは以下のリンクを参照)。
・論座5/27「「超過死亡グラフ改竄」疑惑に、国立感染研は誠実に答えよ!」
https://webronza.asahi.com/politics/articles/2020052600001.html
これらの点を含めて、解説しますが、これまでに欧州の超過死亡のデータを解析していますので、考察は簡単になります。
まず、日本での今シーズンの超過死亡を理解するのに重要な点は次の2点になります。
①インフルエンザの発生数は日本では記録的に少なかった
②COVID-19の死亡率は日本は欧米の50〜100分の1ととても低い
順に解説します。
①今シーズンはインフルエンザの発生数が記録的に少なかった
感染研のグラフは年をまたいだグラフではなく、シーズンごとの発生がとてもわかりにくいためWHOのグラフを示します。
ここ4年間のインフルエンザの発生
ここ12年間のインフルエンザの発生
このように、今シーズンの日本でのインフルエンザの報告数は、ここ12年間で最低になります。
この理由は不明です。たまたまなのか?(欧米での発生は例年通りです)
一説では、昨年秋頃に何らかの感染症が流行ったから(通常のコロナ、SARS-X、その他原因不明のもの)という仮説があります。
例えば、2009年の季節外れの大きな山は新型インフルエンザの流行です。この流行のため、その年の通常の冬に発生するインフルエンザ数が激減しています。これは干渉と言われる現象の一種です(ある感染症が流行ると別の感染症は流行りにくくなる)。
また、欧米でのインフルエンザによる超過死亡は例年よりとても少ないため、弱毒タイプが今シーズンの特徴かもしれません。これに加え、患者数自体が少ないために、インフルエンザによる超過死亡が発生しなかったという結果は妥当だと思います。
②COVID-19の死亡率は日本は欧米の50〜100分の1ととても低い
欧州のCOVID-19の超過死亡と公式の死亡率の相関では、死亡率が150(100万人につき)くらいにならないと超過死亡が発生していませんでした。
現時点の日本のCOVID-19の死亡率は7〜8ほどととても低いので、おそらくこの死亡率では超過死亡が数字になるほどの値にはならないと考えられます。
つまり、今シーズンの日本ではCOVID-19による超過死亡は発生していないか、発生していてもごくわずかで、少なくても日本の通常の死亡数に影響するような数にはならないと思います。いずれにしても例年約10000人程の超過死亡が発生しているインフルエンザとは比較になりません。
今回の記事のまとめは、
日本の今シーズンはCOVID-19とインフルエンザによるによる超過死亡はともに発生していないということになります。それにより、今シーズン(冬期)の日本の総死亡数は例年より減少していたと思われます。
欧州の超過死亡の解析では、死亡率が150を超えないと数字として発生しません(日本では約18900人の死亡に相当)。しかし、毎年数字を出している日本のインフルエンザの計算システムではわずか数千人の死亡でも超過死亡を推定しています。
データの一般への公開とともに、このような優れたシステムを迅速にCOVID-19にも適応していただきたいですね。
これまでに書いた記事のまとめは以下を参照してください。https://www.facebook.com/shinjiro.homma/posts/2641620056162997
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