免疫のとても簡単なまとめシリーズ① 「免疫とは」
新型コロナウイルスの影響を受け「免疫」についての記事や情報が多くなってきました。免疫力、抗体、集団免疫、自然免疫、獲得免疫、T細胞免疫・・・など、たくさんの言葉が使われています。
「免疫力」という言葉はとても便利な言葉で、免疫力を上げる食べもの、暮らし方、サプリメント、体操など、日常的にも使われます。
しかし、実は免疫系はとてつもなく大きく複雑なシステムで、いまだに人類はこの全容はよくわかっていませんし、専門家の間でも意見の違いが多くあります。
また、免疫の知識は日々ふくれあがっており、たとえ医師であっても、基本的なことを学生時代に勉強しただけですので、免疫について十分に理解していないことが多いのです。
私自身は、学生時代は免疫オタクというくらい免疫が好きで、今では免疫について私だけの特別な解釈もあるのですが、ここではあくまで一般に免疫としてほぼ共通に理解されている基本的な内容を紹介します。
新型コロナウイルスやそれに関連するワクチンなどを理解するために、最低限ここだけでも押さえておいてほしい免疫の知識を、できるだけ誰でもわかるように、説明したいと思います。
前置きが長くなりましたが、まずは第1回目「免疫とは」になります。
はじめに、「免疫とは自分を守る働き」と考えるといいでしょう。
自分を何から守るのでしょうか?それは自分ではないもの=非自己になります。自分ではないもので「自分に害をなすもの」「自分に不要なもの」を免疫の一連の記事では異物と呼ぶことにします。
まずは簡単に、
・自己=自分
・異物=非自己=他者=自分以外のすべて
と考えましょう。
そして、免疫とは「自己」に対する「異物」を排除することにより自己を維持する働きになります。
これからの記事にも繰り返して出てきますので、異物についてまとめておきます。異物には、自分に害をなすもの(外からの異物)以外にも、今の自分に不要なもの(内から出る異物)のすべてが含まれます。
例えば、
・ウイルス
・細菌、真菌(カビ)、寄生虫など
・毒素
・がん細胞(もとは自分の正常細胞)
・老廃物(細胞が出すゴミ)
・いらない自分の細胞(一時的に必要であったが今はいらない正常な細胞)
・壊れた自分の細胞
・他の人から移植された細胞や組織
などになります。
少し補足しますが「免疫」という言葉はかつて、一度感染した病気に二度とかからないこと(二度なし)をいいました。
例えば、麻疹(はしか)に一度かかった人は、二度とはしかにかからないことを「はしかに対しての免疫がついた」と表現します。この「免疫がついた」は病気以外にも普通の言葉として使われています。
現在では、免疫という言葉は二度なし現象だけではなく、もっと広い体を守る仕組み全体という意味で使われているということです。つまり、炎症もアレルギー反応もがんを排除する免疫などもすべて自分を守るという免疫機能の一部になります。
しかし、今回の免疫についての一連の記事は新型コロナウイルスの記事やワクチンを理解してもらうためのまとめになりますので、感染症に対する免疫にしぼって解説します。
次回は「免疫には2系統、4種類ある」です。
これまでに書いたコロナウイルス関連の記事は以下にまとめています。
https://www.facebook.com/shinjiro.homma/posts/2728645230793812