免疫のとても簡単なまとめシリーズ② 「免疫系は大きく2系統4種類ある」

シリーズで、できるだけだれにでも分かるように免疫の解説をしております。
前回の記事を読んでいただくと理解が深まります。
https://www.facebook.com/shinjiro.homma/posts/2802198566771811


免疫系は体を守るシステム全体ですので、いくつもの防御段階(防御壁)があると考えるとわかりやすいと思います。免疫系は大きく2系統4種類あります。今回はこれについて大まかに解説します。


まずは、2系統ですが、自然免疫系と獲得免疫系になります。いきなり名前が難しいですね。簡単には、通常時免疫と災害時免疫になるでしょうか。ここで言う災害とはもちろん(ウイルスの)感染になります。

自然免疫系は、第1の防御壁ですが、実は侵入者(ウイルスや細菌などの病原体)が入ってから働き出す系ではなく、常に異物の侵入を防いだり、排除するために動いています。


もちろん病原体が入って来た時も、すぐに異物として排除を始めるので、自然免疫系が十分に働けば、感染する前に処理してしまいます。


ウイルスが人の体で増える為には、ウイルスが体内に侵入し、増えることのできる特定の細胞にくっつき、その細胞内に侵入する必要があります。通常はこの段階で初めて感染と言います。


ですから、以前の「検査陽性と感染の違い」で説明しましたが、新型コロナウイルスが気道(口や鼻)にいても、細胞内に侵入する前に排除してしまえば感染も発症もしないので何の問題もありません。
https://www.facebook.com/shinjiro.homma/posts/2783858135272521


獲得免疫系は、自然免疫系だけでは排除できなかった場合(自然免疫系の防御壁を突破された時)に動きだし、病原体の完全な排除に向かいます。排除できない場合は、できるだけ悪さしない様に封じ込めを行います。


簡単には自然免疫系はつねに細胞の周りを掃除しながらパトロールしている系、獲得免疫系はこの通常のパトロールだけで大丈夫かを判断している系になります。


そして、自然免疫系、獲得免疫系ともにさらに2種類ずつありますので、免疫系は合計で4種類になるのです。細胞の名前は無理に憶えなくても大丈夫です。


自然免疫系の2種類
①構造的なもの 「異物のブロック」をする
皮膚、唾液、胃液、粘液、粘膜、繊毛運動、常在菌など
②免疫細胞による自然免疫 「異物の掃除と運搬」をする
好中球、単球、マクロファージ、樹状細胞、NK細胞など
獲得免疫系の2種類(通し番号)
③液性免疫 「異物のマーキング」をする
抗体が関与する免疫(B細胞系)
④細胞性免疫 「異物の産生工場を破壊」をする
細胞自体が関与する免疫(T細胞系)
それぞれの解説は次回以降の記事になります。


まずは、簡単に免疫系には4種類あることを押さえておきましょう。そして免疫という言葉が出て来た時に、どれについて言っているのか、全体についていっているのかが分かることが大切です(今後の解説も参照してください)。


次に、誤解されやすい言葉を少し整理しておきます。


・免疫と抗体について
医師も含め、抗体=免疫と考えている人が多いのですが、これは正確ではありません。免疫力とは免疫の4つの力の総合力であり、抗体はそのうちの一つになります。


・「免疫がつく」という言葉について
免疫がつくという言葉は、同じ病原体に対して抵抗力がつく=2度と同じ感染症にかからないという意味で使われていることが多いと思います。これは、かつて免疫が2度なし現象を意味していたことの名残りで間違いではありません。


重要なのは「免疫がつく」ことは、かつては「抗体がつく」こととほぼ同じ意味で使われてきたことです。ですから、免疫がついていることの確認に抗体検査をするというような話になるのです。


しかし、免疫がつく=同じ病原体に対して抵抗力がつくという本当の意味は、一度感染した病原体に対しての「記憶」を持つことを意味します。


記憶があるため、2度目にその病原体をもらっても症状が出ないか、出ても軽い状態で病気から回復できることになります。記憶を持つのは獲得免疫系の特徴であり、液性免疫(抗体系)と細胞性免疫(細胞系)の両方が別々に記憶を持ちます。


ですから、免疫がつく=抗体(液性免疫)があるというのは部分的には合っているのですが正確ではありません。細胞性免疫もあわせての免疫なのです。


どちらの記憶が優位に働くのかは感染症の種類により違いますので、抗体があっても感染を防げないこともありますし、細胞性免疫だけで発症を防いでいることもあるかもしれません。


新型コロナウイルスでは、結論がでていませんが、ウイルスの排除には今のところ細胞性免疫の方が重要と思われます(後の記事で詳しく解説します)。

・「免疫をつける」という言葉について
ワクチンを打つことが「免疫をつける」と表現されることがあります。専門家も使う言葉で間違いではありません。これも「抗体を作らせること」と「病気を防ぐための免疫をつけること」の両方の意味で使われます。


最後に、免疫を理解するために大切なことを補足を加えてまとめておきます。
・免疫には4種類あり、すべてが大切である
・免疫力とは、この4つの力の総合力になる
・自然免疫系と獲得免疫系はつねに連動して働いている
・免疫細胞どうしの連絡に使う物質をサイトカインという
・免疫はただ働けば(強ければ)いいのではなく、調節がとても大切

画像に含まれている可能性があるもの:、「連携 獲得免疫系 (災害時) 特定の相手だけに反応 ・記憶あり 免疫は2系統、4種類ある 免疫は2系統、 4種類ある 自然免疫系(通常時) 自然免疫系 通常時 相手を選ばない ・記憶なし 構造的なもの 「異物のブロック」 皮膚、 睡液、 胃液、 粘液、 粘膜、 織毛運 動、 常在菌など 液性免疫 (B細胞系) 「異物のマーキング」 主に抗体 免疫細胞による 「異物の掃除と運搬」 好中球、 好中球、単球、マクロ 単球、 マクロ ファージ、 樹状細胞、 NK細胞など 細胞性免疫(T細胞系 (T細胞系) 「異物の産生工場の破壊」 細胞障害性T細胞 =キラーT細胞」というテキスト


次回の記事は自然免疫系についてまとめます。


これまでに書いたコロナウイルス関連の記事は以下にまとめています。
https://www.facebook.com/shinjiro.homma/posts/2728645230793812

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