西欧のCOVID-19の第2波は本当か?

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第2派が現在、西欧に来ているとされており、いくつかの国が2回目のロックダウンに入ろうとしています。


今回の記事は、以前から紹介しているデータの解析により、現在の西欧の現状をまとめました。


解析の結果を紹介する前に、今まで私が出してきた記事からわかることをまとめておきます。長いのですが、重要なこともたくさん書いていますので、ぜひリンク先も参照してください。
・一つの流行は一時的には収束するが、患者の発生がなくなることはなく、第2波、第3波・・・はいつ来てもおかしくない
・流行の第1波と第2波では(PCRの)検査基準などが大きく異なるため単純に数を比較できない
・検査数の増加(無症状者の拾い上げなども含む)による陽性者数の増加は日本だけでなく世界共通に見られる
・流行の実体の把握には検査陽性数ではなく検査陽性率(陽性者数/全検査数)が優れている
・陽性率の計算により死亡数の増加がおおむね予測できる。つまり、陽性率が大きく増加していなければ、死亡数の増加はほとんど見られない


また、現在のPCR検査はたくさんの問題を抱えていることも押さえておきましょう。
https://www.facebook.com/shinjiro.homma/posts/2785653858426282


まずは、今回の記事の要点です。
・現在、欧州では実際にCOVID-19の第2波が来ているのは確実である
・今のところ第2波の程度は国により様々である
・検査陽性数だけでみると第2波は第1波よりもかなり大きな波が来ているように見える国が多いが、上に書いたように数だけでは単純に比較できない
・陽性率を計算すると、今のところほとんどの国では第2波は第1波ほどの大きさではなく、死亡数の増加も軽度である(だたし、欧州全土で程度の差はあるが死亡数の増加が確実に見られる)
・死亡数の増加は陽性数ではなく、陽性率の増加とほとんど一致して推移している
つまり、陽性率が上昇していない国では死亡数はほとんど増えておらず、陽性率が上昇している国では死亡数も増加している。増加の程度もほぼ陽性率の上昇の程度に一致している
・ PCR検査は様々な問題があるが、意味がないわけではない
・ 陽性率を計算するだけでPCR検査のあらゆる問題や因子の影響を(ある程度)除いて解析ができる(これはスゴイことなのですが^^)
・陽性率の推移から、最も重要な指標である死亡数の推移をおおむね予想できる


では、今回の解析結果を示します。


超過死亡など最もしっかりしたデータが得られる西欧の主要20か国のデータ(1/23~10/25)を解析し、検査陽性数(陽性数)、検査陽性率(陽性率)、死亡数の推移を単純にグラフ化しました(図1~図20)。


陽性数だけ見ると、現在ほとんどの国で流行の第2波の始まりの時期に見えます。また、第1波とは比較にならない大きい規模の第2波が来ているように見えます。

陽性率でみると、大きく上昇している国もありますが、ほとんどの国では、少しの上昇になっています。今回の第2波でみられる陽性率の上昇の程度により以下の6つのグループに分けました。


①陽性率の上昇がみられない3か国では、いずれも死亡率の増加はみられません。
デンマーク、フィンランド、ノルウェー(図1~図3)
デンマークでは死亡数がごくわずか増えているかもしれません。今後の推移に注意が必要です。


②陽性率がごくわずかに上昇している1か国では、死亡率もわずかに増加しています。
ルクセンブルグ(図4)


③陽性率が少し上昇している7か国では、死亡率の増加がごくわずかな国が1か国、少し増加している国が5か国、大きく増加している国が1か国でした。
アイルランド(死亡率わずかに増加 図5)
オーストリア、エストニア、ドイツ、イタリア、イギリス(死亡率増加 図6~図10)
ギリシア(死亡率大きく増加 図11)


④陽性率が(第1波程度に)上昇している4か国では、死亡率が少し増加している国、大きく増加している国がともに2か国ずつでした。
ベルギー、スイス(死亡率増加 図12~図13)
マルタ、ポルトガル(死亡率大きく増加 図14~図15)


⑤陽性率が(第1波以上に)大きく上昇している1か国では、死亡率も大きく増加しています。
ハンガリー(図16)

⑥データが不十分で単純に比較できない4か国は以下になります。


フランス(図17)は陽性率が大きく上昇してしますが、第1波のデータがなく、どの程度の増加であるのか判断できません。死亡数の増加はわずかですが、今後増えてくるかもしれません。


オランダ(図18)は第1波のデータはあるのですが第2波のデータの報告が途切れています(先週くらいまではあったのですが現在削除されています)。まもなく正式なデータがアップされると思います。


スペイン(図19)は陽性率の上昇が見られ、死亡数も少数ですが増加が見られます。以前の記事で陽性率の上昇があるにかかわらず、死亡数が増加しない唯一の国かもしれないと解説したのですが、その後死亡数も増加してきました。しかし、第1波のデータがなく比較できません。


スウェーデン(図20)は、唯一ロックダウンをしなかった国として注目を浴びていますが、残念ながら第1波のデータがありません。第2波での陽性率は死亡数が増加していない時期に等しく、第2波の死亡数も今のところ増加していません。


さて、ロックダウンをするなら、今起きている現状の正確な把握や今までの政策の評価が必要になります。新型コロナウイルスのこれまでの推移と現状をみると、本当にロックダウンなどの活動制限が必要なのかという疑問があります。少なくとも他の感染症、とくに従来のインフルエンザなどとの比較も大切になります。


ロックダウンは活動の自由という基本的人権の制限であり、個人にも社会にも、また物理的にも精神的にも極めて大きな影響を与えます。例えば、正常な人間活動や自由の制限、経済的損失、今までの努力の無意味化、コミュニケーションの欠落、子ども達への悪影響、心理的な抑圧、自殺の増加・・・など影響は計り知れません。


新型コロナウイルスは、どんなに対策を講じても(行動制限や今後出てくるワクチンや新薬などが登場しても)完全に無くなることはありません。ロックダウンを繰り返すような対策をずっと続けることができるかどうか、また、それによる経済や人に対する影響、その後の再生・ケアなども同時に考えていかなければなりません。

現在主に報道されているPCRの陽性数は流行の本当の姿とは大きくかけ離れており、もっとも重要な死亡数の推移ともまったく関連していません。感染疫学では、他にRO値や倍加時間、K値なども計算されていますが、これらはすべて陽性数をもとに計算されますので、同様になります。実際に、専門家から現状に対する理論的な説明や予想がなされたことはほとんどないと言っていいでしょう(不安を煽る派手な推測はたくさんありました^^)。


最後に今回の記事の重要なポイントを以下にまとめます。
・PCR検査にはたくさんの問題があり、陽性数だけでは病気としての重要性や流行の実体はわからない。これだけをもとにした日々の報道や解説は恐怖を増強し、国民を混乱させている。
・陽性率(陽性数を検査数で割るという単純計算)を出すことにより、様々な問題の影響を受けない解析ができる(PCR検査をどんどんするのを勧めているわけではありません。検査数が多くても少なくても、擬陽性が多くても、検査基準や検査法が違っても解析できるということです)
・陽性率は、本当に流行(第〇波)が来ているのか?来ているならどの程度の発生なのか?などの流行の真の実体がわかる。なにより、最も重要な死亡数の推移を予想できる
・「コロナはない」などと単純に結論してしまうと現実との整合性ができなくなる(コロナは恐れる感染症ではありませんが「ある」ということです)


日本及びヨーロッパ以外の国の現状、行動制限(ロックダウンや新しい生活様式)との関係などについては、次回以降の記事にします。


これまでに書いた記事のまとめは以下を参照してください。
https://www.facebook.com/shinjiro.homma/posts/2728645230793812

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