新型コロナウイルスの変異(進化)について COVID-19⑱

新型コロナウイルスのウイルス変異について論文が出て来ており、それに対してたくさんの解説記事が出ています。
①S型とL型に分類
元論文は以下になります。
②A、B、Cの3型に大別
元論文は以下になります。
③3123株についての遺伝子の系統図を公開しているサイトもあります。
これらをみると、コロナウイルスがどのように進化して、世界中に広まっていくのかが良くわかります。一方で、ウイルスがどんどん変異して進化しているという表現に、何となく不安を感じる人が多いように思います。
今回の記事は、ウイルスの変異と、とても誤解されているウイルスの「型」について解説します。
ウイルスの変異とは、ウイルスのもつ遺伝子(体の設計図)の変異で、ウイルスの進化と考えていいでしょう。人の遺伝子(DNA)はほとんど変化しませんが、ウイルスの遺伝子の変異はウイルスにとっては当たり前の日常的なことになります。
ウイルスが変異した場合、性格が凶悪になる場合も穏やかになる場合もありますが、多くの場合はすぐに大きく変わることはありません。凶悪なウイルスの場合は、大抵変異すると徐々に性質がマイルドになります。ウイルスの致死率が高く、すぐに人が死んでしまうと自分自身も生きることができなくなり、ウイルスにとっても都合が悪いからです。
新型コロナウイルスはRNAウイルスです。RNAウイルスというのは、遺伝子としてDNAではなくRNAを持っているという意味です。RNAウイルスは、DNAウイルスに比べて、とても変異が速いという特徴があります。
変異の早いウイルスの代表は、同じRNAウイルスであるインフルエンザウイルスです。どのくらい早いかと言うと、1人の感染した人の体内で大量に増えると数百種類になっている程です。
この内、増えたすべての種類のウイルスが生き残り、広がっていくのではなく、増えやすい、他人にうつりやすいウイルスが優先的に次の人にうつっていきます。つまり、極端な話、1人の人に感染して次の人に移る時には、すでに違う遺伝子を持つウイルスになっていることもあるということです。
コロナウイルスは遺伝子の修復酵素(変異をもとに戻す酵素)を持ちますので、変異のスピードはインフルエンザウイルスほどではありません。それでも約15人への感染をすると1回程の頻度でウイルス変異があるのではないかと考えられています。
例えばインフルエンザウイルスには、A,B,Cの3つの型があります。このうち最も頻度の多いA型は、さらに144種類の亜型に分けられます。インフルエンザウイルスはウイルス表面に2種類の突起(HAとNA)をもち、それぞれの15種類と9種類ありますので、15×9=144種類の組み合わせになります(例えば、これをH1N1、H9N5などと書きます)。
しかし、これは大まかな分類であり、実は細かい遺伝子の違いでみると、それぞれの亜型の中には、さらに何百万種類もの変異したウイルスがあります。感染した人の数だけ違うウイルスがあると考えてもいいくらいです。そのたくさんあるウイルスを大雑把に(正確には抗原性の違いにより)144種類に分類しているのです。
ここからが重要ですが、ここで出てきた型、亜型というのは正確には「血清型」あるいは「遺伝子型」になります。この型(亜型)が違えば、全体の30%以上の遺伝子変異(正確にはアミノ酸配列=タンパク質の違い)がみられるのが普通です。
一方、今たくさんの記事でコロナウイルスの変異や違う型が出ていると解説されている型というのは、正確には遺伝子の細かい違い(全体の約0.2%ほど)であり、「型」というほどの違いではまったくありません。
簡単に説明すると、COVID-19の変異したたくさんのウイルスは、遺伝子でみるといくつかの細かい変異が(当たり前に)みられまずが、すべて同じ一つの(血清)型になります(もちろん血清型がわかっていないので推測になりますが)。
なぜこの違いが重要であるかというと、通常は同じ型に含まれるたくさんのウイルスには同じ抗体(中和抗体=免疫)が有効だからです。
つまり、COVID-19で今のところ報告されているウイルスの変異は、インフルエンザのように、新しい型のコロナウイルスが次々と出て来ている訳ではありません。
一つの同じ型の中で、細かい変異をしているものが当たり前に生まれており、それが数百種類確認されたということなのです。一つの同じ型内のことですので、通常は免疫(中和抗体)ができれば、今変異してできている少し違うコロナウイルスに感染することはないと考えられます。
ですから、次々にウイルスが変異しているために①免疫が効かない②すぐに同じ型に再感染する③すぐに違う型のウイルスに感染する④感染者もワクチンが必要になる⑤毎年違うワクチンが必要になる⑥ADE(抗体依存性免疫増強といい重症化し死に至る病態)を起こす・・・というのは、遺伝子変異の面からは当てはまらないことになります。
COVID-19では抗体が免疫と関係しているかどうか(再び感染しないか、他人にうつさないか)の結論には慎重な意見もあります。今回の記事は一般的なウイルスをベースに解説しています。
これまでに書いた記事のまとめは以下を参照してください。

関連記事

no image

新型コロナウイルスの不安や疑問に答えるQ&A COVID-19⑩

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について様々な不安を煽る情報に対して、現時点での私の考えをQ&A形式でまとめました。 今までの記事のリンクのまとめは以下になります。ぜひ合わせてご参照ください。 https://www.facebook.com/shinjiro.homma/posts/2641620056162997 COVID-19が世界中を席巻しています。連日の過度な報道、学校の休校、職場への影響、公共施設やイベントの自粛、経済活動の極端な減少・・・など生活が一変しています。 以前も書きましたが、人は未知のものに恐怖の感情を抱きます。新しく登場したウイルスですので、分からない事 […]

no image

COVID-19の抗体検査による疫学調査の結果が次々と出て来ています COVID-19⑱

COVID-19の抗体検査による疫学調査の結果が次々と出て来ています。 まずは、結果だけを簡単に書きます。 ①米カリフォルニア州 サンタクララ郡 人口約200万人 https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.04.14.20062463v1.full.pdf ・3330例のうち1.5%で抗体陽性 ・年齢、性別、人種などで補正して全人口の約2.49〜4.19%(48000〜81000人)がすでに感染したと推定 ・これは、PCRで確認された公式患者数950人の50〜80倍 ・補正した感染者での致死率は0.12〜0.2%になる ②米カリフォルニア州 ロサ […]

no image

日本の一つのクリニックでの抗体検査の結果です COVID-19⑲

個人のクリニックですが、一般市民の希望者200名で抗体検査(簡易キット)を行い、約6%で陽性(つまり抗体を持っている=すでに感染している)という結果でした。 https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2020043090070748.html この結果は、1クリニックの結果であり、 ①検査数がとても少ない ②検査を受けた人の集団の地域や年齢分布などの補正をしていない ③検査キットの感度や特異度が不明 などの問題がありますが、先日の慶応病院でのCOVID-19と関係のない人(総数67名)でのPCR陽性者と全く同じ割合(6%)になっています。 https://www […]

no image

「夕刊フジ」(夕刊紙)が私の新刊「感染を恐れない暮らしかた」を紹介してくれました。

「夕刊フジ」(夕刊紙)が私の新刊「感染を恐れない暮らしかた」を紹介してくれました。 昨日発売(6/11発売、日付は6/12号)のものになります。私の本を「絶賛」していただいています^^ また、 ・本間流「新型コロナとの向き合い方」 ・私のこれまでの経緯 ・私の普段の活動 ・各論の自然に沿った生活 などについても、とても簡潔にわかりやすくまとめた記事になっています。ありがとうございます!! 「夕刊フジ」には公式ウェブサイトでも公開になっています。https://www.zakzak.co.jp/smp/lif/news/200612/hea2006120003-s1.html 私の新刊「感染を恐 […]

no image

予防接種についての私の意見のまとめ

今回は私の予防接種についての意見をまとめて記事にします。私に反対の意見があってもいいと思いますし、それを否定しませんが、これを機会に多くの人が考えるきっかけになればいいと思います。私の情報は陰謀論など確認できない情報は一切使っていません。   とても、すべての内容は紹介できませんのでワクチンを勉強される方は、ぜひ拙書「自然に沿った子どもの暮らし・体・心のこと大全」のワクチンの項を参照していただきたいと思います。宣伝ではありません。私はかつてNIH(米国立衛生研究所)でワクチンの開発者でした。ですから、ワクチンを推奨する様々な専門家の意見や批判内容も、考える背景も実はよく理解できるので […]

PageTop