日本の一つのクリニックでの抗体検査の結果です COVID-19⑲

個人のクリニックですが、一般市民の希望者200名で抗体検査(簡易キット)を行い、約6%で陽性(つまり抗体を持っている=すでに感染している)という結果でした。
この結果は、1クリニックの結果であり、
①検査数がとても少ない
②検査を受けた人の集団の地域や年齢分布などの補正をしていない
③検査キットの感度や特異度が不明
などの問題がありますが、先日の慶応病院でのCOVID-19と関係のない人(総数67名)でのPCR陽性者と全く同じ割合(6%)になっています。
東京の人口を約1390万人とし、このうち約6%がすでに感染したとして単純計算してみます。
・ 東京都のこれまでの感染者数の推計は約83.4万人になる
昨日(12/29)までの東京都の公式な発表では、累積患者数は4059名、死亡者数の累計は108名です。
・感染者数の推計は正式な報告の約205倍になる
・推定感染者での致命率は0.013%(正式な報告2.66%の約1/205)になる
これは、通常のインフルエンザの致命率の0.1%を大きく下回ります。
繰り返しになりますが、抗体検査から推定されることは、
・COVID-19の正確な致命率は現在の正式な報告よりとてもとても低い
・不顕性感染や軽症者が非常に多い
・すでに多くの人が感染し、無症状のまま治っている可能性がある
・以前から指摘されているとおり日本では重症者数、死亡率とも特に低い
このように、PCR検査だけの今の検査方法ではCOVID-19の全体像はほとんどわからず、全く違う印象の病気になります。
また、抗体ができても、本当に免疫がついているかどうか(再び感染しないか、他人にうつさないか)を疑問視する意見もあり、自然免疫や獲得免疫の重要性が指摘されて来ています。
しかし、まずは抗体検査でCOVID-19の全体像を把握し、現在行っている対策や考え方を早急に大きく見なおす必要があると思います。
・これまでに書いた記事のまとめは以下を参照してください。

関連記事

no image

免疫の異常による病気(現代病)と腸内細菌

前回の記事の続きです。   さて、前回の記事では、現代人に多くみられる病気(現代病)のほとんどの背景には免疫の異常があることを説明してきました。   では、免疫が異常をきたす原因は何なのでしょうか?また、どうしてこんなにも急激に増加しているのでしょうか?全ての事には理由があるはずです。   よく言われるように、食事や生活習慣の変化(いわゆる欧米化)や様々な化学物質(公害、農薬、食品添加物、経費毒など)が原因でしょうか? もちろん、原因は一つではなく、これらもとても大きな影響を与えていることは間違いありません。   しかし、最も重要な原因は、昔はあたり前にいた寄生虫や微生物を常識的な衛生管理を超 […]

no image

インフルエンザの新しい治療薬ゾフルーザについて

インフルエンザが流行期に入る直前だそうですが、インフルエンザの新しい治療薬であるゾフルーザが登場しました。 実は昨年度末(2018年3月14日)から出た薬なのですが、シーズンの終わりでしたのでデータも少なく記事にしていませんでした。 以前にタミフルについての記事は出しています。 https://www.facebook.com/shinjiro.homma/posts/2042243549433987 ここでは、タミフルの効果は症状が7日出るのを6.3日に下げる程度と解説しました。 今回の新薬と合わせてインフルエンザ治療薬を解説します。薬の名前はすべて商品名にしています。 昨年までインフルエン […]

no image

インフルエンザの流行を防ぐ最大の対策は自宅待機

〜インフルエンザの流行を防ぐ最大の対策は自宅待機〜 昨日の記事でインフルエンザに検査や治療薬の使用、さらには病院の(早期の)受診は必要ない(逆にしてはいけない)とお伝えしました。 https://www.facebook.com/shinjiro.homma/posts/2305267673131572 今回の記事は、私がこれらをお勧めしない理由をわかりやすく説明していきます。ワクチンに関しては既に記事を書いていますし、他の方も多数情報を発信されていますのでそれらをご参照ください。 簡単にはインフルエンザワクチンに感染の防止効果はほとんど期待できませんし、重症化(脳炎脳症や肺炎)の予防効果はあ […]

no image

COVID-19の抗体検査による疫学調査の結果が次々と出て来ています COVID-19⑱

COVID-19の抗体検査による疫学調査の結果が次々と出て来ています。 まずは、結果だけを簡単に書きます。 ①米カリフォルニア州 サンタクララ郡 人口約200万人 https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.04.14.20062463v1.full.pdf ・3330例のうち1.5%で抗体陽性 ・年齢、性別、人種などで補正して全人口の約2.49〜4.19%(48000〜81000人)がすでに感染したと推定 ・これは、PCRで確認された公式患者数950人の50〜80倍 ・補正した感染者での致死率は0.12〜0.2%になる ②米カリフォルニア州 ロサ […]

no image

腸内細菌叢の確立に影響する要因

前回の記事の続きです。   腸内細菌叢の確立に影響を与えている要因についてより深く考えてみましょう。 やや厳しい内容も含みますが、やみくもに現代医療を批判しているわけではなく、事実に基づいております。   やむにやまれぬ事情もたくさんあることは、臨床医である私も十分に承知しております。 もし、これらに当てはまることがあっても落ち込むことはありません。 これらを踏まえてどう考えていくのかは、これからの問題であり、社会全体の問題でもあります。   ① 抗生剤の使用 出産前後には、様々な医学的な理由により抗生剤が投与されることが多いですが、抗生剤が投与された場合は、妊婦の腸内細菌のバランスを大きく崩 […]

PageTop