「なす子育ちの会」さん主催の「子どもの病気とワクチン」の講演会の質問の答え ①食について

先日の4月17日に「なす子育ちの会」さん主催の「子どもの病気とワクチン」の講演会がありました。

 

那須町では、これまでにも何度も講演会をさせていただきましたが、初めてご参加の方も多く、たくさんの皆様にお越し頂き大盛況でした。

ほとんどの方が、小さい子ども連れかご家族で参加され、とてもにぎやかで楽しい中でお話させていただきました。スタッフの皆さま、いつもありがとうございます。

 

私の講演会はマシンガントークを一つの売りにしています(笑)。

とってもたくさんの質問があり、今回はいつも以上のマシンガントークでお答えしたのですが、時間内には限られた数しかお答えできませんでした。

 

講演会でお答えできた質問に関しては、参加された方がとても分かりやすくまとめていただいていますのでご参照ください。ありがとうございます!!

http://ameblo.jp/ulysses310/entry-12270251803.html

 

これほど多くの質問が出ることは、関心の高いテーマであることに加え、皆さんが真剣に聞かれたためであり、とても嬉しく思います。

また、質問の内容も質問された方以外の多くの人にも役に立つものが多いと思いますので、主な質問に対する私の解答をのせます。

 

個人的なご質問に関しては、ブログやフェイスブックではお答えできませんので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 

質問がとても多いため、いくつかの項目(①食②アレルギー③ワクチン④生活⑤薬や病気⑥その他)に分け、何回かにわたって回答する予定です。

 

今回は①食についてになります。

 

Q1 離乳食を始める時期について教えてください

A1 人間は哺乳類ですので、母乳から始め離乳期に入り、いずれは大人と同じ食事へと移行するのが自然の流れです。では、いつから離乳食を開始するかですが、特に問題のない健康な子であれば、一般に言われている5〜6ヶ月から始めるのが良いと思います。

 

近年、あまりにも早い離乳食は、タンパク質の負荷が腸管を傷つけ、アレルギーやいわゆるリーキーガット症候群(以下LGS)などにつながり、アトピーや自閉症など非常にたくさんの病気を引き起こすという意見を目にしますが、これは、少し本質から外れていると思います。

 

抗生剤や抗菌グッズ、食品添加物、加工食品、冷たい食べ物など腸に良くないものが問題であって、自然食を心がけ、腸内細菌が健全に育っていれば私は早期の離乳食は全く問題にならないと考えています(例えばこれによりアトピーが悪化する例は見たことがありません)。

 

もちろん母乳の栄養が良い状態では、1歳位までは離乳食を急ぐ必要は無いと思いますが、1歳を超えてからの母乳は、栄養面や免疫的には重要性は減り、スキンシップ(母子関係)としての意味が強くなります。

 

母乳を止める時期はいつでも良く、可能ならお子さんと相談の上で決めるのが良いでしょう。母乳とは関係なく離乳食を勧めていくのが良いと思います。

 

Q2 どの油が良い油でしょうか

A2 油を理解するには脂肪酸の分類(5種類)の知識が必要になります。私の本『病気にならない暮らし事典』の130ページなどを参照し理解を深めていただけたら幸いです。詳しく書くと長くなりますので、ごく簡単に概略だけを示します。

 

最も摂ってはいけないのがトランス脂肪酸(マーガリンやショートニングが有名ですが非常に多くの加工食品に入っています)です。欧米では摂取量が規制されており、ほとんどの報告で最も摂っては行けない油として共通して指摘されています。

 

それ以外の油は、人により意見が異なりますが、私は、動物性食品をあまり推奨していませんので、次に控えるべき油を「飽和脂肪酸」(動物脂、ココナッツ油)と考えています。

 

「不飽和脂肪酸」はオメガ3系、オメガ6系、オメガ9に分類されています。

結論だけ言えばオメガ6系(ほとんどの植物油)は控えめにし、オメガ3系(エゴマ油、アマニ油、ヘンプ油)をとりましょう。ただし、オメガ3系は酸化しやすいので(油の種類に関係なく酸化した油が最も悪いという意見もあります)加熱しないで使うか、油として摂るのではなく、食品(ナッツなど)から摂る工夫をしましょう。加熱料理にはオメガ9系(オリーブ油、なたね油)を少量のみ使用します。いずれの油もオーガニックで遺伝子組み替えでない国産のもの、低温・圧搾法で作られた油がよいでしょう。

 

現代は揚げ物や炒め物の料理が多く、明らかに油の摂り過ぎです。油の栽培・採取を考えてみても、油は本来非常に貴重なものであることがわかります。できるだけ食品(ゴマ・ナッツなどの種子類)から直接摂るように心掛けてみましょう。

 

Q3 離乳食につかう油は何が良いでしょか

A3 私は離乳食も大人の食事と同じもの(月齢に応じて硬さと量だけ調節する)を与えるのが良いと考えていますので、A2と同様に考えて良いと思います。

 

Q4 粉ミルク中ですがフォローアップミルクは必要でしょうか

A4 可能な限り母乳でいくのが良いと思います。離乳食が順調に進んでいるのであれば、基本的にフォローアップミルクは必要ないと思います。

 

Q5 玄米食は何時から与えて良いのでしょうか

A5 A3にも書きましたが、私は離乳食も大人の食事と同じもの(月齢に応じて硬さと量だけ調節する)を与えるのが良いと考えていますので、ご両親が玄米を食べているのであれば、始めからで問題ないと思います。

 

何らかの理由で消化・吸収機能が落ちている人(大病後、腸内細菌がダメージを受けている人、クローン病・潰瘍性大腸炎・LGSなど腸の病気の人など)以外は、消化に良いものが体に良い訳ではありません。

消化に良い物だけ食べていると消化能力が萎えてしまうからです(使わない筋肉が萎えるのと同じ)。

 

また、消化の悪い難消化性の炭水化物(レジスタントスターチ)や食物繊維がむしろ腸内細菌にとっては最も良い栄養となるのです。食事の原則は一物全体です。精製されればされるほど体に良くないということです(精製塩、白砂糖、白米、精白小麦など、さらに単体のサプリメント、薬も同様)。

 

 

Q6 糖分は何が良いのでしょうか きび、てんさい、オリゴ、ハチミツ?

A6 ここに挙げられている例は主に単糖類、二糖類ですので、甘いものとくに砂糖についての考え方について説明します。

 

砂糖の害の理由を挙げるととてもたくさんありますが代表的なものとして・・・

①GI値(摂った後どのくらい血糖値が上がるか)が高い

これにより、甘いものを摂るたびに体には以下のトリプルパンチで害になります。

(1)急激に血糖値が上がる(これによりインスリンが大量に出て繰り返すと膵臓が疲弊する→糖尿病)

(2)その後急激に血糖値が下がる

(3)下がり過ぎ低血糖になる(これによりアドレナリンが出て、繰り返すと副腎が疲弊する→アドレナルファティーグ)凶暴性やイライラ、キレる、あるいは無気力など精神的な影響がとても強い

 

②極陰性 東洋医学では、冷え、緩む、広がる、崩壊する方向性に働き、様々な病気の原因となります。

 

③ビタミン、ミネラルなどが激減している

 

以上により、結論を簡単に言うと、すべての単糖類、二糖類(甘いもの)は①②の作用を有するので摂ってはいけない、ただし精製度の低い糖(キビ、テンサイ、黒糖)は③ビタミン・ミネラル分に関して言うと、白砂糖よりは良いということになります。

 

つまり、甘いものの摂取は嗜好品の範囲内にするのが良いでしょう(私の推奨する甘酒であっても摂り過ぎに注意しましょう)。

 

オリゴ糖は血糖値の上昇は少なく、腸内細菌とくにビフィズス菌の栄養になるため体に良い糖ですが、食べ物で摂るにはとても大量に摂取する必要があります。

 

Q7 先生が4つ足動物をなるべく食べない理由を教えてください

A7 私は、肉(特に四つ足動物)を食べるかどうかは、健康だけでなく、地球環境、動物愛護、飢餓問題、人間性(精神性)にわたる問題で、人の生き方に関しての集約であると考えています。

そして、これらのいずれの面からも積極的にお勧めできないからです。飽食の現代社会の問題、日本の気候風土の面から考えても、現代の肉食過多はあまりにも不自然ではないでしょうか。ぜひ私の本の138ページも参考にしてください。

 

健康面に関して、信頼度の高い報告では以下が共通しています①肉の摂取量にほぼ比例して総死亡、心血管疾患、がんが増加②ベジタリアンでは総死亡、虚血性心疾患、がん、腎臓病、内分泌疾患の率が低下③非加工肉よりも加工肉(ハム、ソーセージ、ベーコンなど)の方が確実に健康被害が大きい。

 

これらに加え肉食は、健康に最も大切な腸内細菌に対する悪影響も無視できません。最近になってようやく「腸活」という言葉がブームになってきましたが、現在の病気・健康・栄養に関する情報の多くは、微生物についての考え方が全く欠如した人間中心の理論だけで議論されています。

 

地球環境への影響として例えば以下があります①1kgの肉を生産する為には約10,000ℓの水が必要で小麦の約50倍②ここ40年で南米の40%の熱帯雨林が家畜用飼料の栽培の為に消失③家畜の排泄物は人の130倍といわれ水質汚染が深刻。

 

動物愛護の面では、動物の肉を食べる行為は動物を殺す行為であり、また、家畜の飼育環境もとても問題が多い状態です。

 

飢餓問題をみますと、2010年世界の飢餓人口は8億4,200万人で、毎日6万人近くが飢餓で亡くなっています。牛肉1kgを生産するのに穀物8kgを必要とします。肉類の摂取を控えるとその何倍もの穀物を供給できるのです。

 

もちろん、かつての長い歴史において、私たちの生命を維持するために、必要最低限動物の命をいただく行為はあったでしょう。しかし、現代はどうでしょうか。自分で食べるものを自動的に他者に委ねる状況を作り出し、新たな問題が生み出されていることにも、目をむける必要があると思います。

 

このように肉食をどう考えるかは、自分の欲望を優先させるのか、自分の健康も含め他の全ての生き物と共存していくのか(つまり、これから私たちがどのように生きていくのか)の試金石であると考えています。

 

 

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