PCR検査の問題点を詳しく説明します

PCR検査の問題点を指摘して、検査は当てにならない、意味がないなどと短絡的に結論を出している情報を見かけます。


検査にはそれぞれの特徴があり、必ずメリットとデメリットがありますが、一部の欠点があるから、検査自体が全く当てにならないというのは「思考停止」になります。


今回の記事はPCR検査の何が問題でどのように考えればいいのかの要点をわかりやすくまとめてみます。


まず、あらゆる検査を理解するために避けては通れない「検査の精度」について解説します。今回は専門用語()がわからなくても理解できる様に説明してみます。


検査の精度とは主に次の2点です。
①もれなく見つけること(感度)
②間違いなく見つけること(特異度)


①②ともに高いのがよい検査法になりますが、通常はどちらかを優先するとどちらかが低くなります。例えば、もれなく見つけるためには間違いが大きくなるということです。


この点に注意して今回の記事をお読みください。前回の記事と重複する部分もありますが、この記事だけでも理解できる様にまとめています。


PCR検査は、途上国を含め世界中のすべての国で新型コロナウイルスの主要な検査法になっています。


検出しているのはウイルスの遺伝子(コロナウイルスRNA)になりますが、遺伝子全体のごくごく一部だけになります。


まずPCR法のメリットですが、PCR法は一般にはウイルスをもれなく見つける精度はとても高い検査になります。


遺伝子の一部を数百万倍から数億倍にも増やして検出しますので、理論的にはわずか1個〜数個の遺伝子の断片でも検出できます。


しかし、新型コロナウイルスでは、このもれなく見つけるという能力が低く70%ほどと推定されており、せっかくのメリットが生かされていません。この能力が低い理由は様々なことが考えられますが、大きくはウイルス量が少ないこととウイルスが変異していることの2点になると思います。

PCR法が世界で共通して行われているのは、他の検査法がないためというのが現状になります。


次にPCR法のデメリットをまとめます。
①ウイルスの断片があるかどうかを見ており、以下はわからない
・ウイルスが生きているか死んでいるか
・ウイルスが細胞に感染しているかどうか
・感染した人が発症しているかどうか
・陽性者が他人にうつせるかどうか
・ウイルスが今「いる」のか少し前に「いた」のか
詳しくは前回の記事も参照してください。
https://www.facebook.com/shinjiro.homma/posts/2783858135272521


②ウイルスの変異に対応できない
ウイルスの変異とは、ウイルスの遺伝子が変異するということです。ウイルスが変異しても、わずかの変異であれば、通常は問題なく検出できます。そのように設計してあるはずです。ウイルスの遺伝子が大きく変異すると、通常はPCR法の条件(プライマー)を変えないと検出できなくなるか、検出能力が著しく低下します。
新型コロナウイルスはインフルエンザウイルス程ではありませんが、とても変異しやすいRNAウイルスの仲間です。


③簡易キットはない
身近な病院や診療所の外来などですぐに結果が出るようなキットはありません。通常は大学病院や保健センター、ウイルスの研究所などの特別な研究室での検査になります。ですから、検査方法を熟知しているスタッフと時間、費用がかかる検査になります。


④他のウイルスや生物なども陽性にしてしまうことがある
他のウイルス(インフルエンザやRS、アデノなど)やウイルスでもないマイコプラズマやクラミジアでも陽性になることがあるため、まったく信用できない検査と解説されることがあります。


これは、精度の間違いなく見つけることの方の問題になりますが、もちろん、検査ですので間違える可能性はありますが頻度は低いと思います。つまり、ごくまれに間違えて他のウイルスを陽性としてしまうことがあるというのが正しい理解になるでしょう。


闇雲にどのような人でも検査するのではなく、コロナウイルスの症状が疑われる人に限っての検査であれば、さらに間違いは少なくなります。


⑤検査陰性でも絶対に安全とは言えない
ウイルスをもらってすぐ、あるいは細胞に感染してすぐの状態でウイルスが増えていない場合は結果は陰性になります。また、検査した後に新たにウイルスをもらっている可能性がありますので、検査が陰性であっても、絶対に安全とは言えません。


安全性を高めるためには、定期的に繰り返しの検査が必要になりますが、それでも絶対にはなりませんし、費用や煩雑さの問題も生じます。そもそもコロナウイルスはそこまでして絶対にいないことを確認する必要があるウイルスではないでしょう。


⑥陽性者が少ない状態で幅広く検査をすると間違いばかりが多くなる
PCR法は、少ない陽性者を見つけ出す(スクリーニングする)ことを目的に使用してはいけないという意味です。ここはわかりにくいのですがとても重要な問題ですので、理解しやすい様に極端な例をあげて説明します。


例えば、PCR検査が99.9%の人を間違えなく見つけることができるとします(実際にはもっと間違えると思います)。ほとんど間違えない検査になりますが、この場合でも1000人に1人は間違えてウイルスがいないのに陽性(いること)になってしまうということです。


すると、1000人検査して、3人が本当に感染している場合は・・・
本当の陽性3+間違えて陽性1=検査陽性の合計は4になります。
この時、陽性の場合に間違いなく陽性である確率は 3/4=75%になります。


次に、総国民100000000人検査して、3人が本当に感染している場合は・・・
本当の陽性3+間違えて陽性100000=検査陽性の合計は100003になります。
この時、陽性の場合に間違いなく陽性である確率は 3/100003=0.003%になってしまうのです。


極端な例をあげましたが、ここだけでも押さえておいてほしい結論は、陽性者が少ない状態で検査を多くすると間違いばかりが多くなるということです。


しかし、これを理由にPCR検査がまったく意味がないということにはなりません。陽性者が少ない状態で検査を増やすのが問題ですので、本当の陽性者が多いと疑われる集団に限定して検査するのは問題ないのです。


つまり、PCR検査とは、無症状の人を含めて闇雲に検査をするものではなく、医師が診察して(あるいは問診などにより)コロナウイルスの検査が必要だと判断した人(陽性の可能性が高い人)に対して行う検査なのです。


PCR検査は、これらのことを熟知して検査するのであれば、全く問題なくとても有益な検査になります。


これまでに書いた記事のまとめは以下を参照してください。
https://www.facebook.com/shinjiro.homma/posts/2728645230793812


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