月刊「壮快」2019年5月号記事「日本人にとって小麦粉製品は主食ではなく嗜好品」

健康雑誌の月刊「壮快」に「自然派医師が土をいじる。菌とたわむれる。」という記事を連載中です。今月号(2019年5月号)は連載第17回目 です。

戦後一貫としてあらゆる現代病、アレルギー、自己免疫疾患(膠原病)、がん、生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症など)、うつ、自閉症、発達障害・・・がまさに激増しています。

これらの現代病は、日本では戦後から激増しています。病気は食事の影響だけではありませんが、食事から病気や健康を考察するときはこの視点がとても大切です。

先住民や原始人の食事から食事法を解説する意見もみられますが、その時代の食事や生活環境は想像や仮定のものであり、何でも言えることになります(これらを全く否定するわけではありません)。まずは、いつから病気が増えたのかの理解が大切で、戦前はこれらの病気がほとんどなかったということです。つまり、日本で現代病が急増したのは70年ほど前からになります。

この点を踏まえて、三大栄養素である炭水化物、タンパク質、脂質の消費量を戦後からの推移でみてみます。

炭水化物の消費量は一貫して減少、総蛋白質量はほぼ横ばい(動物性が増加する一方で植物性は減少)、総脂質量は激増(植物性は増加、動物性は激増)しています。

以前にブログでも詳しく解説しました。
https://shizenha-ishi.com/blog/food/406/

糖質制限食が流行ったり、その後弊害の報告が増え、少し流行が下火になってきていますが、歴史的に見るとどのように考えればいいでしょうか?また、炭水化物の中では、米の消費量が年々減少し、代わりに小麦の消費量が増加しています。

小麦の様々な問題点を指摘する意見が増え、日本でもグルテン(小麦)フリーを実践している人が増えています。以前も書きましたが、私の小麦についての考え方を簡単にまとめておきます。詳しくはリンク先の記事を参照してください。

全ての国の全ての人に当てはまる健康法はないことを強調しておきますが、その上で、日本に住む日本人にとっての小麦についてのまとめになります。

①腸および腸内細菌の状態が良好であれば、多少の小麦の摂取は問題になりませんが、小麦粉を使った食品は主食ではなく、あくまで嗜好品の範囲にとどめる程度にしましょう。

②セリアック病、小麦アレルギー、グルテン不耐症の人は小麦やグルテンを抜く必要がありますが、一部の人に当てはまることを全員が行う必要はありません。

③小麦を摂る場合は、オーガニックや自然農の小麦で、できるだけ全粒粉を混ぜ、パンの場合は天然酵母、パスタの場合は低温乾燥のものか生パスタが良いでしょう。

④アレルギーや体調不良の人は、古代小麦を試してみるのも良いかもしれません。

⑤小麦やグルテンの問題の本質は、それ自体よりも腸内細菌の異常など、私たちの身体の方にあると思われます。

以下の記事も参考にしてください。

小麦やグルテンフリーについて
https://shizenha-ishi.com/blog/food/257/

古代小麦について
https://shizenha-ishi.com/blog/food/299/

また、今月号では種の問題(在来種とF1種)についても簡単に解説しています。興味を持たれた方はぜひ今月号の月刊壮快をご覧ください。

関連記事

no image

全米でヘンプ(大麻)栽培の合法化

ついに、全米でヘンプ(大麻)の栽培が合法化するとのことです(州レベルではすでに解禁されていました)。 https://www.facebook.com/shinjiro.homma/posts/2279668325691507 全世界で大麻の解禁(合法化)がものすごい勢いで進んでいます。医療用大麻はすでに20か国以上で使われていますし、嗜好用大麻もウルグアイとカナダで解禁になっています。 大麻にはカンナビノイド と呼ばれる特有の成分(化学物質)が60〜100種類以上含まれています。代表的なカンナビノイドの一つであるテトラヒドロカンナビノール(THC)が大麻の主な向精神性(欧米では主に多幸感であ […]

no image

現時点(8/18)での第2波について全世界のデータから考える

情報には自分の意見に都合の良い部分(国など)のデータだけでまとめて簡単に結論づけているものがとても多くなっていると感じます。新聞やテレビ、ネットだけでなく医学論文であっても同様ですので、情報の解釈、活用には注意が必要になります。 今回の記事は、情報の得られる全世界208カ国すべてのデータから第2波について検査陽性数と陽性率、さらに死亡数との関係をまとめました。まず、いままでの私の記事からわかることを確認しておきます。 ・検査陽性と感染者を明確に区別する必要がある・流行は収まるが陽性者が完全に無くなることはなく、少数の陽性者が出る「くすぶりの状態」がこれからも続いていく・検査数が増えれば陽性者数 […]

no image

一般家族内で新型コロナウイルス感染が疑われたり、すでに発症者が出た場合の対応(2/26) COVID-19⑤

連日、新型コロナウイルスの記事を書いています。今までの記事のリンクを以下にまとめておきます。ぜひ合わせてご参照ください。 ①最も重要な情報の簡潔なまとめ https://www.facebook.com/shinjiro.homma/posts/2622431101415226 ②新型コロナウイルスの臨床的特徴(2/22の時点) https://www.facebook.com/shinjiro.homma/posts/2623921001266236 ③新型コロナウイルスについてのウイルス学的な特徴 https://www.facebook.com/shinjiro.homma/posts/ […]

no image

免疫のとても簡単なまとめシリーズ⑤『免疫は「働く」ことと「調節できる」ことの両方が大切』

シリーズで、できるだけだれにでも分かるように免疫の解説をしております。いままでの記事を読んでいただくと理解が深まります。https://www.facebook.com/shinjiro.homma/posts/2805909419734059 免疫は「働く」ことと「調節できる」ことの両方が大切です。あまり指摘されないのですが、非常に重要な部分になります。よく使われる「免疫力を上げる」という言葉ですが、本来は「免疫を調節する能力を上げること」とも言えるのです。 以下にわかりやすく解説してみます。 免疫が「働く」とは「異物を排除すること」になります。免疫の「調節」とは「免疫反応をいつ始めるのか、 […]

no image

東京テレビ「ワールドビジネスサテライト」に出演しました

昨晩、東京テレビ「ワールドビジネスサテライト」に出演しました。生出演ではなく、事前のZoom取材でした。 とても簡潔に編集していただいており、担当の方にも頑張っていただいたのですが、私のお話しした8割位はカットされています。 以下に補足します。 まず、ポビドンヨード(商品名イソジン)は・・・ ①粘膜(口腔内も粘膜)にも使える唯一の消毒薬である ②効果は高くウイルスにも細菌にも効果がある ③使用すれば、今そこにいる(口腔内、唾液などの)ウイルス量を少なくする効果はあるが、一方で、粘膜を傷つけたり、常在菌に確実にダメージを与える。 次に、イソジンの効果を考える上で大切なことは・・・ ①本来は、口腔 […]

PageTop