冬のインフルエンザボーナス

〜冬のインフルエンザボーナス〜

連日、インフルエンザ関連の記事を書いています。
いままでの記事は下記を参照してください。
「インフルエンザはただのかぜ、ワクチンや病院の受診は不要」
https://www.facebook.com/shinjiro.homma/posts/2305267673131572
「インフルエンザの流行を防ぐ最大の対策は自宅待機」
https://www.facebook.com/shinjiro.homma/posts/2305907309734275
「インフルエンザの流行の拡大は規則上の問題が大きい」
https://www.facebook.com/shinjiro.homma/posts/2307296819595324

インフルエンザの流行が拡大しており、当診療所にも1日に88人がインフルエンザで来院されました。私はインフルエンザに病院の受診が必要ないことを繰り返しお伝えしています。このような情報発信をしている診療所にインフルエンザの患者さんがこれほど来院されるとは世の中は一体どうなっているのでしょうか^^

前回の記事では、医師や病院についてはあえて書きませんでしたので、今回はこの点を記事にします。

まず、インフルエンザは開業医や病院にとってとっても儲かります。

少し現実的な話になります。通常の病気の診察(初診)で患者を診察し薬を処方すると、1人につき約3500円が病院の収入になります(検査がない場合です)。インフルエンザでは、通常の診察と処方に加え、検査と検査の説明料を請求できますので、インフルエンザを診察、検査、処方すると1人につき約6400円の収入になります(さらに6歳未満では約1000円、3際未満では約3800円加算されます)。

さて、当診療所の本日の売り上げは(インフルエンザだけで)いくらになるでしょうか?^^ここのところ毎日ボーナスが出ている状態になります。スゴイですね。ちなみに1日に88人の診察はまったく多くはなく、多いクリニックでは200〜300人以上診察している所もあります。私は開業医ではなく勤務医ですので、インフルエンザをどんなにたくさん診察しても給料は1円も増えませんが・・・

さらに園や学校、職場では、治癒の証明書が必要となりますので、この時に再診料(約700円+小児加算)と文書料(決まりはない)が取れます(診断書を要求する職場もあります)。

加えて、流行前のワクチン接種では1回2500円〜5000円が収入になります。ワクチンにはほとんど効果がありませんので、流行期にはワクチンを受けた方もインフルエンザにかかり多数来院されます(症状が軽くなろうがならなかろうが・・・)。ますますスゴイですね。

このようにみると、インフルエンザはまさに開業医にとっての冬のボーナスという表現がふさわしいのではないでしょうか。

さて、ワクチンや薬を話題にすると医師や病院を批判する意見やコメントを多く目にします。しかし、いままで見て来た通り、インフルエンザには制度上の問題が強く、それぞれが自動的に動かされている面が大きいのです。そして医師も全く同じなのです。

病院(開業医を含む)はインフルエンザで騒ぎが大きくなるほど受診者が増え、経営的にはメリットがありますが、肝心の医師自体の対応はどうでしょうか?まず、大切な事を述べると医師の対応は制度上も西洋医学的にも表面上はまったく間違っていません。患者が来院するので(西洋医学的に)診療し、それに見合う収入(診療報酬)を得ている・・・つまり何の問題もありません。

たとえ、ワクチンや検査、薬の効果が不十分であっても、西洋医学的な選択肢はそれしかないからです。西洋医学は西洋医学の範囲内では決して間違っていません。実際には西洋医学以外の治療や対処法もたくさんあるのですが・・・。しかし、医師は西洋医学の国家免許を持つ唯一の存在であり、西洋医学を駆使して患者をみるのが仕事です。

では、一般的な医師はインフルエンザについてどのように考えているのでしょうか。一般の医師にとってインフルエンザは、インフルエンザ(あるいは感染症)の専門家(ほとんどいません)でなければ、ほとんど「何も考えていない」か「どうでもいい」病気になります。実際にインフルエンザはかぜの一種です。

通常の医師はかぜの診療とか、ただワクチンを打つだけとか、専門知識のいらない誰でも出来る仕事には全く関心がないのです。それよりも自分が勉強して来たり興味のある分野(糖尿病なら糖尿病、がんならがんなどいわゆる専門分野や高度な機器を使った医療)の診療や研究をしたいのです。

この状態で専門家である医師以外から今までしている事(現在の医療状況)以外の意見を言われたらどうなるでしょうか?

医師は西洋医学の専門家であるというステータスもプライドもありますし、医療訴訟の問題もありますので、自分の知らないことを聞きたくないし答えたくない立場なのです(実際にはほとんど興味がありませんので自分の専門以外は教科書的な知識しか持っていません)。

そこで、通常の医師は他の医師やいわゆる専門家以外の人の意見は聞かないし、(自分が)安全安心(訴えられない)医療、他の医師と同じ治療、ガイドラインに沿った治療だけにしか関心を示さなくなるのです。ですから自分の理解を超えた(一般の人と違った)対応をとる人に説教までして攻撃する事があります。

強調しますが、ほとんどの医師は真面目であり、良心的であり、献身的です。ましてや人を傷つけてまでお金を儲けようなどとはまったく考えません。(残念な事に一部に例外もいますが・・・)

自分があまり関心がない問題で金銭的にとても潤っているのであれば人は今の体制を変えようとは思わないのです。医師もただの人間です。

つまり、医療者サイドから現在のインフルエンザ診療のあり方の問題が指摘される可能性は限りなく「ない」でしょう。まずは患者サイドが正確な情報を知り、自主的に選択、発言、行動できるようになる必要があります。

そして、この問題はワクチン(どんな問題が起こっても同意書をとっていれば医師が訴えられる事はない)や他のあらゆる病気の診療、さらには様々な社会問題(牛乳、給食、原発・・・)についてもまったく同じ構図になります。

個人的には検査をすればするほど、薬を出せば出すほど収入が得られる現代の診療報酬システムにも問題があると思います。できるだけ検査も薬も使わないで治療する方(実に素晴らしい事ではないですか?)が収入が高くなるようなシステムにすれば患者サイドも(病気にならないよう、病院にかからないように)勉強し、医療サイドも工夫するのではないでしょうか。

例えば、一人当たりの年間医療費を始めから設定し(難病など特に高度な治療を必要とする場合は例外)、その範囲内で治療を選択できるようにする。そして使わない分を医師報酬とし患者にも還元するなどのシステムがいいのではないかと思います。

インフルエンザ関連の記事は本日で一旦終了になります。

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