稲霊からの種麹の作成

ついに長年の望みであるオリジナルの種麹の作成(培養)に成功しました!!

現在フェイスブックで紹介している発酵食品シリーズでは第13弾になります。

 

種麹をご存知でしょうか?
種麹は、様々な麹(米麹、豆麹、麦麹)を仕込むときに使う穀物の発酵を行う始まりの菌である麹菌の固まり(胞子だけを集めたもの)です。

図に示すように種麹からは非常にたくさんの発酵食品をつくることができます。とくに、私たち日本人の健康にとってなくてはならない発酵食品(みそ、しょうゆ、みりん、酢など)は麹菌の発酵から始まります。

 

今回は、私たちが作っている米の稲わらについていた天然の麹菌のかたまりである「稲霊」からほぼ純粋な麹菌(胞子)を取り出すことができました。

しかも、今回取れた麹菌は今までみたことのない雪のように真っ白な菌(完全オリジナル)です。これまで、市販の米麹から増やした種麹は抹茶の粉のような緑色をしていました。

 

共同でお米を作るのは8年目になり、毎年目を皿のようにしてみていたのですが、なかなか稲霊が取れなかったのです。昨年は、秋になってから雨が続き、湿度が高かったせいか天日干しの稲わらに大量の稲霊がついていました。

 

稲霊(いなだま)

 

今回はこの麹菌を増やしてみました。

 

麹菌(種麹)の作成は、秘伝中の秘伝とされ、かつては麹座の所有権を巡って戦などが起きたことがあるほど重要なものなのです。

 

現在、市販の発酵食品(みそ、しょうゆ、みりん、酢、納豆、ヨーグルト・・・)の多くが、放射線照射や遺伝子組み換え技術などを経て人工的に増殖した不自然な単一の菌により作られているのです。

 

今回取れたのは、私の住む土地のたくさんの自然の麹菌の集合体と考えらます。

自分の住んでいる地域の自然の菌と共生し、一体となっていくのが食事の原則である身土不二の本当の意味になります。

 

身土不二(しんどふじ)の本当の意味~微生物の観点から~

 

また、麹を作るときの条件を調節すれば、例えばみそを作るときの米麹を作るときはアミラーゼ活性の強い麹、しょうゆを作るときの豆麹はプロテアーゼ活性の強い麹というように応用も可能です。

 

今回採れた麹菌を利用して、様々なオリジナルの発酵食品を作ることがでます。

例えば同じ「みそ」でも、作り方や場所、材料が違えばまったく違う「みそ」になります。「手前みそ」とは、それぞれの人の住んでいる地域(家)の菌や作物を使って作った「みそ」を自慢と謙遜をこめて呼んだのだと思います。

ご自分で麹菌を増やす際には、衛生管理に充分に注意し、自己責任の上で行ってください。

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