民間での抗体検査の結果が次々に出て来ていますがが、どれも同じような結果です COVID-19⑳

すでに多くの人がシェアしていますが、神戸市立医療センター中央市民病院に新型コロナウイルスと関係のない症状で外来を受診した患者1000人に抗体検査を行い33人(3.3%)で陽性(つまり抗体を持っている=すでに感染している)という結果でした。性別や年代の偏りを修正すると、抗体を持つ人の割合は2.7%になるそうです。
神戸市の人口(約151万人)を基に計算すると、市民の約4万人が感染していたことになります。当時判明していた感染者の400倍以上です。この結果は約1か月前の4月上旬の結果ですので、現在はさらに感染者数が増えていると思います。
本日(5/4)の時点での神戸市での死亡数が5名です。検査した時点での死亡数が不明ですが、約1ヶ月前までの死亡数がもし4名だとしても、感染者での推定致死率は0.01%になります(実際はもっと少ない?)。
以下は現場の医師である同院の木原康樹院長に対するインタビューの要約です。
・結果の精度や、免疫を獲得したことと同じかどうかは議論が必要だが、ある集団に関して、どのくらい抗体を持っていたという言い方はできる
・どちらかというと、これは非常に良いデータ
・公表の患者数と非常に大きな隔たりがあり、本当に、大きな驚きである
・死亡率も公式発表より随分低くなる
・外国の値ともそう矛盾しないデータかもしれない
・日本では重症の患者の割合がかなり低い
・新型コロナウイルスに対する評価は大きく変わってくる
・国策としてこれからどの時期にどう解除するか、根拠は何かということに関して、一石を投じるデータになる
・PCR検査で判断していると、実は間違ったことをやっている可能性は大いにあると医療現場で思う
・PCR検査の結果だけで見る世界とは、違う裾野の世界が、現在進行形で広がっているという認識が大事
・ 具体的なちゃんとした情報発信をしていくことが、私たちの仕事である
抗体ができても、本当に免疫がついているかどうか(再び感染しないか、他人にうつさないか)を疑問視する意見もあり、自然免疫や獲得免疫の重要性が指摘されて来ています。
まずは、早急に大規模な抗体検査を行い、現在行っている対策や考え方を早急に大きく見なおす必要があると思います。
・これまでに書いた記事のまとめは以下を参照してください。

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