微生物の排除が現代病を引き起こすメカニズム~現代人は出生時から病気になりやすい状態になっている~

これまでの記事で、近年急増している現代病(アレルギー、自己免疫疾患、自閉症、さらには多くの慢性病)が寄生虫や微生物を排除していることが重要な原因であることを説明し、さらに産業革命以来の超長期的な視点からもそのことを確認してきました。


私たちは独立した一つの生命ではなく、人類の始まりからずっと長い間、腸内細菌などの常在菌や常在ウイルス、さらにかつては寄生虫などと供に生きてきた超個体(生態系)なのです。

 

私たちの身体の腸内や口の中、皮膚などは、これらの微生物がいることが正常な状態であり、適切に免疫をコントロールするためには、これらとの連携が必要であるため、微生物を排除することにより免疫の異常が起こることは容易に推測できます。

 

アレルギーは、本来反応する必要のない無害なダニ、ほこり、花粉や食べ物などを免疫系が攻撃してしまう病気です。

自己免疫疾患(例えば、リウマチやクローン病、潰瘍性大腸炎などがあります)は異物ではない自分自身の細胞を攻撃することにより発症します。

自閉症も児の神経細胞を攻撃してしまう抗体や慢性の炎症、腸内細菌叢の変化などの免疫の異常が最も根本にあります。

 

これらの病気には、いずれも免疫の異常、とくに免疫反応をコントロール(ストップ)する能力の欠陥が共通して見られます。

 

また、妊娠中の母の免疫の状態は、出生前の胎児の免疫系に刷り込まれ、出生後の児の免疫の方向性をある程度決定しています(胎内プログラミング)。

 

母の免疫の状態は、母が生活している環境(つまり児が出生後におかれる環境)による影響を受けています。つまり、微生物が多い状態なのか少ない状態なのか、微生物を攻撃するのか共生するのか、炎症を強くするのか弱くするのか、炎症をすぐに止めるのか続けるのか…などについてです。

 

さらに、妊娠中に母に重篤な感染症がみられると、アレルギー、自己免疫疾患、自閉症のいずれのリスクも非常に高くなります。

 

これらの事を踏まえて、今回の記事は、微生物の排除がどのように免疫の異常を引き起こし、最終的に様々な現代病を発症させるメカニズム(仮説)を歴史的な経緯に沿って考察してみます。

 

産業革命以前は、人々は寄生虫、病原菌や環境の常在菌などとの接触がとても多い環境に住んでいました。この時代では、寄生虫を含む様々な感染症により亡くなる可能性もとても高かったと考えられます。

 

そのような環境で生き残った人たちは、害をなす寄生虫や病原体に対しては強い炎症を起こして排除するとともに、炎症を強力にコントロール(ストップ)する能力にも優れていたと考えられます。

 

つまり、寄生虫や病原菌が多い環境では、このような強い免疫反応を起こす体質の人であっても、アレルギーや自己免疫疾患、自閉症などの現代の病気を全く引き起こすことなく、むしろ感染防御など生存に有利であったと考えられるのです。

 

産業革命からの近代史は、文明の発達とともに、寄生虫や病原菌、さらに最近は、病気とは全く関係のない常在菌までを含む微生物を排除し続けてきた歴史になります。

 

これらの微生物とくに寄生虫がいなくなったことにより、まず、母の免疫のコントロール(とくに強い炎症を起こすが、沈める事)ができなくなり、その状態は胎児の免疫系に伝えられていくことになります。

 

さらに、妊娠中に母が感染症にかかると、この炎症を起こす傾向が非常に増強された状態で児に伝えられることになります。

 

妊娠中に感染症にかかる可能性は、20世紀後半よりも前半、さらに時代をさかのぼるほど、高くなるのですが、強い免疫反応が起きても、制御する力も強ければ問題にならなかったと考えられます。

 

この事からも現代人は、免疫反応を起こす方ではなく、制御(ストップ)する方が機能していないことが分かります。

 

このような母の妊娠中の免疫状態もそのまま児に伝えられていくことになります。

 

また、胎児の免疫状態は、出生後の免疫を調節していく腸内細菌などの常在菌の選択や形成にも大きな影響を与え、始めの免疫異常が持続(拡大)していくことになります。

 

つまり、現代の先進国(日本を含む微生物が激減してしまった国)の人のほとんどが、過剰な免疫反応(炎症)を起こしやすい一方で、その反応のコントロール(ストップ)ができないという免疫の状態(異常)を生まれた時からすでに持っているということになります。

 

ただし、この免疫の状態(異常)は病気が発症する一番始めの重要な部分(スイッチ)ですが、これだけですべての病気が発症するのではないと思います。全員が病気を発症している訳ではないからです。

 

このベースの上に、その後の様々な環境の要因(食事内容や公害、農薬、洗剤、食品添加物、薬、ワクチン、抗菌グッズなどの化学物質、重金属などの環境毒による次なるスイッチ)が加わることにより、最終的にアレルギー、自己免疫疾患、自閉症などを引き起こしていくと考えられます。

 

母の妊娠中の状態が児に大きな影響を与えることを説明してきましたが、これは決して母だけの責任ではありません。産業革命からの微生物の排除は、悪いことばかりではなく、歴史の必然であり、特定の個人ではなく、社会全体が推し進めてきた事なのです。

 

実際に妊娠中に関して言えば、現在これだけ免疫のコントロールが機能しにくい状況下で、産まれてくる子に少しでも免疫異常の病気を減らしたい、と考えるのがこの記事を読んだ率直な感想だと思います。

 

健康な子どもが産まれるためには、何よりも母が健康であることが重要なのです。そのためには、感染症を恐れて外出を控えたり、ワクチンを受けたり、薬や病院に頼るということではありません。

 

「健康は一日にしてならず」であり、母の免疫状態を整えるための基本も、日々の生活にあり、やはり「自然に沿った生活をする」ということです。

 

今後、詳しく書いていきますが、要点を示すと①規則正しい生活②適度の運動③ストレスをためない④腸内細菌などの常在菌を排除するような行き過ぎた衛生管理をやめる⑤生活のあらゆる場面で不自然な化学物質を避けるなどです。

 

母の健康(免疫)状態が整っていれば、感染症にかかりにくくなりますし、たとえかかってしまったとしても、免疫の反応も適切に制御されたものになります。

 

また、出生後であっても、同様に不自然な化学物質の使用を控える、微生物(常在菌)と触れあう環境の工夫、抗生剤やワクチンの投与を極力受けない、解毒・排毒能力を高めるなどの自然に沿った生活により、環境にもやさしく、正常な免疫の再構築も可能になるのです。

 

増え続けている現代病(アレルギー、自己免疫疾患、自閉症、がんなどの慢性疾患)を減らし、健康に生きて行くためには、すでに過ぎてしまったことを悔やむよりも、問題点を正確に認識して、1人ずつが今すぐにでも出来ることからはじめて行く必要があるでしょう。

 

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