腸内造血についての科学論文
いまさらという感じもしますが、人の腸内で血液(を構成する細胞である血球)が作られていることを証明した論文が権威のある雑誌にのったというニュースです。
https://headlines.yahoo.co.jp/article…
腸で造血がされているという説を腸(内)造血説といい、日本の生物学者で医学博士でもある千島喜久男氏(1899-1978年)が提唱したことで有名な説です。
腸内造血説は、千島博士が提唱した独特の8つの主要な原理からなる千島学説に登場する代表的な原理の一つです。
千島学説をかいつまんで要点だけ以下に解説します。
①(赤血球)造血は骨髄ではなく小腸の絨毛で起こる
②すべての細胞(体細胞、生殖細胞、さらにがん細胞など)も赤血球から分化し、条件により後戻りもする
③病原体は感染ではなく体内で自然発生もする(感染を否定している訳ではない)
④細胞は細胞分裂で増えるのではなく新生する
⑤一生の間に、環境によってはぐくまれた形質(獲得形質)は子孫に遺伝する
⑥進化は進化論「適者生存」ではなく、同種あるいは異種の生物間の共生現象である
⑦私の(生命)弁証法は、唯物弁証法と唯心弁証法を止揚し統一したもの
このように、千島学説は現在の主流の西洋医学とはかけ離れた説ですので、西洋医学的には完全否定され、いわゆる「トンデモ理論」とされています。
しかし、一部のマクロビオティックの指導者やソマチッド健康論の方、代替療法、その他自然療法を指導されている方にはとても支持されている考え方になります。
このニュースは、腸が造血をしているという最も大切な点に関しては詳しく述べておらず、腸管移植をしたときの拒絶反応が少なくなる点をとても強調しています。
今回、千島学説の最も根幹をなす腸内での造血が証明されましたが、千島博士が主張した骨髄での造血を否定する(細胞分裂自体を否定している)という論文ではありません。実際には両方で造血がなされているのでしょう。
私は、千島学説のすべてを無条件に信じている訳ではありませんが、とても興味深い考えが多く含まれる説だと思います。とくに体のすべての細胞(がん細胞も)は腸から生まれた赤血球に由来するという考えは、私の「腸および腸内細菌の状態が人の健康にとってもっとも大切」という考えにもつながります。
個人的にはこれ以上にマニアックな説である「生物学的元素転換」に興味がありますが・・・
今回のニュースは腸の重要性がまた一つ確かめられたととらえるのが良いと思います。昨日までの常識といわれるものが、これからもずっと常識ではないということにもなりますね^^